↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

第1話 スライム改造!

「それで……これからどうすればいいんだ?」


 とりあえず、この世界を改造すると決めたものの……。


 具体的に何をすればいいのか、まったく思いつかない。


「あ、そういえば改造するには条件が必要だって言ってたよな?」


 条件か。


 さっぱり見当もつかないが、とりあえず近くにいたスライムに近づいてみた。


「うわ〜……ぷにぷにだ〜」


 ……じゃなくて。


 その瞬間、目の前に再びメッセージが浮かび上がった。


====================================

【固有スキル『改造』】

・対象:スライム Lv.1(下級魔物)


【解放条件一覧】

・初回討伐 [達成!]

・対象レベル(Lv.1)<使用者レベル(Lv.2)[達成!]


【改造可能項目】

・外見および質感(粘性、色、形状)

──『改造』Lv.1以上 [可能]


・特性および生態(酸性度、捕食性、好戦性)

──『改造』Lv.2以上が必要 [ロック中]


・ステータス補正(体力、攻撃力、移動速度)

──『改造』Lv.3以上が必要 [ロック中]


※現在のスキルレベル:『改造』Lv.1

====================================


「おお! 条件っていうのはこういうことだったのか!」


 下級魔物だからか、それほど厳しい条件には見えない。


「でも、レベル制限のせいで外見しか改造できないのか。一度試してみるか?」


 スライムをこねくり回してみた。


「とりあえず、スライムの基本である青色にピンクも少し入れて、ホウ砂水と洗濯のりを混ぜて~……って、そうじゃない」


 『改造』は俺の想像を現実にするスキル!


 そう信じて、スライムの外見を変えてみた。


 そして。


「……なんだ、このグロテスクな生き物は」


 目の前には、青とピンクが入り混じったスライムがいた。


 問題は色ではない。


 胴体の真ん中にはピンク色の縞模様が渦巻くように巻きつき、その周囲ではまるで人間の血管のような模様がうごめいていた。


 しかも、身体の表面は妙にでこぼこしている。


 ぷるぷるしたゼリーというよりは……長いこと放置された、カビの生えたプリンに近かった。


「いや、ちょっと待て。これはさすがにないだろ」


 スライムがぽよぽよと身体を揺らした。


 まるで気に入ったとでも言いたげに。


「お前は気に入ったのかよ!?」


 ぽよん!


「返事するな!」


 ……いや、そもそも返事なんかできるわけないだろ。


 俺は頭を抱えた。


 こんなはずじゃなかった。


 俺が求めていたのは、こんなものじゃない。


 魔王軍の最前線で勇者一行を恐怖に陥れる、強力な魔物!


 それなのに、これは何というか……。


 勇者じゃなくて、村の医者が真っ先に駆けつけてきそうな見た目だった。


「よし。やり直しだ」


 今度はもっと慎重に改造することにした。


 青色をベースにして、ピンクはほんの少しだけ。模様はシンプルに。形は丸っこく。


 スライムの外見が変わった。


「おお! 今度はいいじゃないか!」


 キラキラと輝く青い身体に、可愛らしいピンク色の水玉模様。


 これなら悪くない。


 可愛くて、ぷにぷにしていて、なかなかスライムらしい。


「そうそう! こういうのだよ!」


 俺は拳を握りしめた。


 そして、ふと思った。


「……でも、こんなに可愛かったら強そうに見えないよな?」


 ……。


「もう一度改造だ!」


 そうして何度も改造を繰り返した。


 可愛いスライムを作ろうとして失敗し、格好いいスライムを作ろうとして失敗し、恐ろしいスライムを作ろうとして……。


「うわああああ! なんで目が三つもついてるんだよおおお!!」


 スライムの胴体には、目玉が三つもついていた。


 しかも、それぞれ違う方向を向いている。


 左の目は俺を見つめ、右の目は空を見上げ、真ん中の目はなぜか自分の身体を見ていた。


「お前、一体何を見てるんだよ!?」


 スライムは答えなかった。


 代わりに身体をうごめかせると、真ん中の目をゆっくりと閉じて開いた。


「そんな目でこっちを見るなあああ!」


 結局、俺はスライムを元の姿に戻した。


 いや、元の姿に戻すだけでもかなり時間がかかった。


 一度操作を間違えると色が戻らなくなったり、身体の形が歪んだり、表面がべたべたになったりと、次から次へと問題が発生したからだ。


「はあ……はあ……何なんだよ、この無駄な苦労は」


 スライムを一匹改造しただけなのに、もう疲れ果ててしまった。


 だが。


「……いや、まだだ」


 ここで諦めるわけにはいかない。


 俺は魔王になると決めた男だ。


 たかがスライム一匹に負けるわけにはいかないだろう!


「今度こそ完璧なスライムを作ってやる!」


 再び手を伸ばした、その時だった。


 ピロン!


 聞き慣れた効果音とともに、新たなメッセージが浮かび上がった。


====================================

【固有スキル『改造』】

対象に対する改造熟練度が一定値に達しました。


スキルレベルが上昇します!

『改造』Lv.1 → Lv.2


【新規項目解放!】

・特性および生態(酸性度、捕食性、好戦性)

──『改造』Lv.2以上 [可能]

====================================


「おおおおおお!!」


 両拳を強く握りしめた。


 ついに!


 ついに外見だけを変える退屈な作業から抜け出せるようになった!


 これで酸性度を高めて何でも溶かすスライムを作ることもできるし、捕食性を高めて他の魔物を食べるようにすることもできる。


 さらには好戦性まで調整できるなんて!


「よし! これを待ってたんだ!」


 すぐにスライムを改造しようとして、ふと手を止めた。


 ……待てよ。


「でも、なんでレベルが上がったんだ?」


 改造を繰り返したからだろうか?


 だとしたら、改造すればするほどレベルが上がるのか?


 俺はステータス画面を確認した。


====================================

【固有スキル『改造』】

・現在レベル:Lv.2

・対象:スライム Lv.1(下級魔物)

・改造熟練度:最大値到達


※同一対象への追加改造では、これ以上スキル熟練度を獲得できません。

====================================


「……は?」


 ちょっと待て。


 最大値?


 俺はスライムを見下ろした。


 スライムも俺を見上げた。


 もちろん、目は二つだった。


「……お前のせいで、もうレベルを上げられないってことか?」


 ぽよん。


「ぽよんじゃないだろ!」


 俺はスライムを指差して叫んだ。


「お前が何をしたって言うんだよ! なんでお前が最大値なんだ! 俺が今まで何回改造したと思ってるんだ! 色を変えて、形を変えて、模様をつけて、目玉までつけてみただろ!」


 ぽよぽよ。


「誇らしげに受け止めるな!」


 ……はあ。


 とりあえず落ち着こう。


 スライム一匹で無限にレベルを上げられないのは残念だが、逆に考えれば簡単な話だ。


 他の魔物を改造すればいい。


 スライムより強い魔物を改造すれば、もっと高いレベルまで成長できるかもしれない。


 そうやってスキルレベルを上げていけば、いつかはステータス補正まで解放されるはずだ。


 そうなれば、攻撃力や移動速度を強化した魔物を作り、その魔物たちを集めて軍隊を組織して……。


「……よし。いいぞ……!」


 想像するだけで胸が躍る。


 平和なだけだったこの世界に、ついに面白いことが起こるのだ!


「待っていろ、勇者よ! このアルター様が必ずお前にふさわしい敵を作ってやる!」


 俺は意気揚々と空に向かって叫んだ。


 そして、すぐにスライムを見下ろした。


「……その前に」


 ぽよん?


「お前、最後にもう一回だけ改造してみよう」


 ぽよぽよ!


 スライムは嬉しそうに身体を揺らした。


 ……何となく腹が立つ。


「よし。今度はお前の好戦性を最大まで上げてやる!」


 『改造』を発動した。


====================================

【固有スキル『改造』】

・対象:スライム Lv.1(下級魔物)


【改造項目】

・好戦性:基本 → 最大


 改造を実行しますか?

====================================


「もちろんだ!」


 俺は迷わず実行を選択した。


 その瞬間。


 ぽよん。


 スライムが身体を縮こまらせた。


 そして……。


 ぽよぽよぽよ!


「……あれ?」


 スライムは突然、狂ったように跳ね回り始めた。


 だが、俺には攻撃してこなかった。


 代わりに、隣に生えていた草に向かって飛びかかった。


 ぽん!


 草が倒れた。


 ぽん! ぽん! ぽん!


 スライムは周囲の草を片っ端から攻撃し始めた。


「……何やってるんだ、お前?」


 ぽん!


「なんで草を攻撃するんだよ!?」


 ぽんぽんぽん!


「俺がお前の好戦性を上げてやったんだろ! なんで俺に襲いかかってこないんだよおおお!!」


 俺は頭を抱えた。


 ……駄目だな。


 この世界を改造するのは、思っていたよりずっと大変なのかもしれない。


 だが。


 だからといって、諦める俺ではなかった。


「ふふふ……いいだろう」


 ゆっくりと顔を上げた。


「たかがスライムごときに、俺の偉大な計画を邪魔されてたまるか」


 まずはもっと強い魔物を探す。


 次に改造する。


 そして、また改造する。


 レベルを上げ、新たな機能を解放し、さらに強力な魔物を生み出す!


 そうして、いつか魔王軍を完成させれば……。


「クハハハハハ! 待っていろ、異世界! この俺が必ずお前たちをハードモードにしてやるぞおおおお!!」


 俺の叫びが草原に響き渡った。


 その隣では、スライムが相変わらず草を攻撃していた。


 ぽん! ぽん! ぽん!


 ……本当に。


 この世界の将来が心配になってきた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白かった」「応援したい」と思っていただけましたら、ページ下部の【ブックマークに追加】や、評価の【☆☆☆☆☆】を★に変えて応援していただけると非常に嬉しいです!


よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。