山村殺人事件−2
山村にある名家「奥安家」で起きた奇妙な殺人事件。
一昨日の夜に発見された遺体はこの家に勤める菅原という使用人。
ここ長子村にいる駐在である有馬が駆けつけ事情聴取のため死体の部屋に見張りをつけ別室へ。
自殺の可能性を高いと決めた有馬は死体の部屋にもう一度戻り現場を確認するはずがそこにあるはずの死体が消えていた。
「意外と和服似合うね、横溝くん」
「そういえば、そうだな」
起きてから状況整理に集中していたせいか服が学生服から和服に変わっている事を忘れていた。
この時代、1960年代の服装はよく知らないが俺と荒城は同じ紺色の甚平。
男女の服装差分はないのか……。
「私こういう甚平着るの初めてかも、意外と寝やすいね」
感心するところが少しズレている。
俺は服装よりこの場所に感心する、蚊帳なんて教科書でしか見た事ないし縁側から匂う蚊取り線香の匂いなんておばあちゃん家でも嗅いだことがない。
ザ・昭和の日本みたいな和室。
「朝の……6時か、チュートリアルが無くて残念」
「これがチュートリアルだよ横溝 陣一くん」
姿は見えないが声色で俺たちをここに飛ばした梟であることがわかる。
「先ほども言ったがこの家では男の死を起点とし不可解な事件が巻き起こる、その持ち前の冷静さを発揮して存分に立ち回ってくれ」
「心中は穏やかじゃないんだよ、荒城もそうだろ?」
「え!?……あぁ、まぁ。うん」
さっきよりも顔色に焦りが見える。
この声を聞いて色々聞きたいことが出てきたのだろう。
俺も気になることはある。
「ここから帰るには迷宮を攻略しないといけないのか」
「その通り、元の世界に戻る方法は犯人を見つける事と後一つ」
「まさか後一つって俺たちが死んだら死体となって戻るなんて言わないよな」
「いいや、君達は死ぬ場合はその時代の人物に死がすり替わる。君達は元の世界に戻ることはできるが最悪の未来に近づく」
なるほど、だから俺たちの身は安全と言いきれたのか。
俺たちが死ぬ場合はこの時代の誰かが代わりに死ぬ、恐らく探偵という立場もその誰かが行なっていたという歴史改変になるのだろう。
どうなっても気分が良い話ではない。
「最初なんだ、何かお助けアイテムとかはないのか?」
「壁にかかっているポーチの中に色々と用意をしているから活用してくれ。では健闘を祈る」
脳内に流れる梟の声は消えた、周りはまだ静けさが残る朝方。
とりあえず鳥が言っていたポーチの中を調べるか。
ぬくい布団を出て蚊帳の下から和室へ出る。
壁には俺と荒城の服であろうベストとズボン、ワイシャツ、その隣に肩がけの茶色のポーチが下がっていた。
「アイテムと言うには少なすぎるだろ」
ポーチを開けると小型のライト、手帳にペン、以上。
実に探偵らしいアイテムで。




