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山村殺人事件ー1

梟と契約し迷宮へと連れてこられ気が付くと見知らぬ和室に寝ていた。

隣には同級生の荒城あやせ、どこから手をつけて良いかと模索していると開いたふすまから覗くように一人の女性が俺のことを先生と呼び何やら神妙な顔をしている。


「今回の事件ですか……」


俺の言葉で頷く女性。

事件も何も今転送されたばっかなのだが。

今ここで平静を崩すのは得策ではない、とりあえずこの女性から慎重に情報を探るか。


「その前に僕の事を先生と呼ぶのはおやめ下さい、医者でも教師でもないですし。バチが当たってしまいます」


少し微笑みながら冗談めかす。


「ご謙遜を、ご当主様が懇意にされている探偵様なのですからもう少し胸を張ってもバチは当たりませんよ」


「ははは……俺はどうも」


もう少し探ろうかと思ったが一言で答えが知れて良かった。

俺はどうやらこの屋敷の当主が懇意にする探偵らしい、まぁ事件のことを聞いてる時点で捜査する役柄と見当はつく。

それにこんな屋敷に泊まるなんて警察はまずいない、であれば個人的に捜査する探偵。


「あなたのお名前を聞いてもよろしいですか?こちらに来てから色々ありまして一度紹介に預かっていたら申し訳ございません」


「これは失礼致しました。私はこの奥安家の使用人をしています松田 梅子と申します」


使用人ね、どうやらここはお金持ちの家らしい。

梟が言っていたことを思い出せば男の変死を皮きれにはじまる連続殺人事件。


「松田さん、ではあなたが知っている情報がどれほどなのか教えてください。申し訳ないのですが僕は余計な説明はあまり好かないので」


「かしこまりました。私が知っているのは一昨日の夜、同じ使用人である菅原が屋敷の一室で胸を刺され死んでいた事から始まりまりました。

 最初は事件性は無く、ここ長子村ながこむらの駐在である有馬さんを含め奥安家の中で終わるかと思われましたが本当の事件は次の日に起きたのです。

 夜中に発見された菅原の死体は遺体搬送のため見張り二人を置き他の人は別部屋で事情を有馬さんから聞かれていました。私もそこに。

 そうしてあらかたの事情を聞いた有馬さんはこの件を自殺と判断し本部へと連絡しようとしました。そして死体があった部屋に訪れもう一度現場を見ようとしたら、そこにあったはずの菅原の死体が消えていたのです」


「なるほど……」


「これが私が知る事件の全容です。ここへ来たのは何か進捗はないかとお嬢様から聞くようにおうせ使って来ました」


発見された死体が事情を聞いている間に消えていた……か。

なるほど、これがあの鳥が言う未解決事件。

迷宮か。


「松田さん、ここまで聞いて申し訳ないのですが当主様から概要を話す時は皆がいる前でと言われていますので。また折りを見て話をさせていただきたい。そうお嬢様にもお伝え願いますか?」


松田は「かしこまりました」と頭を下げ場を後にする。


「なんか横溝くん、本物の探偵みたいだった」


「起きてたのか荒城」


隣には狸寝入りを決めていた荒城が起き上がっていた。


「荒城は随分と余裕そうだな、こんなどことも知らない殺人鬼がいる屋敷に召喚されたってのによ……」


「なんて言うのかな……横溝くんがあんまりにも平静だから私もつられて?」


平静なのは取り繕ってるからであって心中は穏やかじゃない。

もうなんで俺がという疑問は捨てた、だが人が死んでる場所にいるのは我慢ならない。

あの鳥は身の安全は保証する的なことは言っていたがどこまで信頼できるか。

今思うのは荒城を巻き込んでしまった少しの罪悪感。


「悪いな荒城、巻き込んで」


「別にいいよ、私こういうお芝居好きだし」


「状況わかってるのか?」


「うん、でもさっき横溝くんが話ししてるの見て思ったよ。横溝くんについて行けば大丈夫だって」


「じゃあ俺は誰について行けば良いんだ?」


「赴くままに」


「適当言うな……まぁとりあえず状況を整理するか。早く帰んないとみさきが心配する」



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