表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

山村殺人事件ー14

町田は知っている、今回の事件の入り口を。

菅原と同じ時間を共にし事件の前に口論をした人物「町田」。

この人の証言で事件の進展は天と地の差に広がる。


「まぁ仕事仲間であり学校の先輩後輩ですね、俺は高校行ったんで年齢は上ですけど仕事歴で言ったらあいつの方が上です」


「町田さんはなぜここに就職を?」


押し黙ってしまう町田。

少しズバズバ聞きすぎたか、回り道でも着実に進まないと。


「嫌なことがあれば無理に答える必要は……」


「全て答えろ町田!」


気を遣おうとした瞬間に左から聞こえる怒号。

声の方へ向くとそれは大層お怒りの健五郎がいた。


「お前はなぜ父様とうさまがこの事件を追っているかわかるか?」


「従業員が死んだから……ですか?」


「断じて違う!!」


断じて違うのか。

俺も町田の意見だと思って捜査していたのに。


「父様はこの家に物怪や呪いがあるという噂が流れる事を憂慮しているのだ。もし呪われた一家などと吹聴されれば巴の婚姻はもちろん今奥安家が起こしている事業に傷をつけかねん。お前の証言で解決できるなら少しの事も漏らさず言うのがここで働く者の勤めだろ!」


健五郎の一喝。

圧が強いがまぁ言うことは外れてもいない。

奥安家当主の三吉が警察に言わず駐在と探偵のみで解決したい理由。

一言で言えば世間体、菅原が死んだからその犯人を捕まえるという名分ではなく「死体が消えた=悪霊がついている」という認識を産ませないために犯人を捕まえるということ。


「健五郎さん、ひとつ聞いて良いですか?」


「なんだ?」


「もしこの事件で菅原さんの死体が消えずに居たら三吉様はどう言った対応をされたと思いますか?」


考え込む健五郎。

この回答いかんでは犯人像が少し変わる。


「どんな対応と言われてもな、恐らく何もしないし気にもとめないと思うぞ。それこそさっき言った関心を示さない人の筆頭が父様だ。最悪の場合死んだことすら無かったことになるかもしれない」


死が無かったことになるか。

これが時代性という者なのか、俺の時代からやく60年しか遡っていないのに。


「三吉様に殺人者がこの屋敷にいるという恐怖はないのですか?」


聞く健五郎は水面を見て少し微笑む。


「さぁな、父様は優しいがそれ以上に非情だ。奥安家以外の人間が聞いたら異常だというが身内が聞けば納得する。父様は「誰か」が死んでも気にしない」


「ありがとうございます。良いことを聞けました。では最後に町田さん、生前に菅原さんと口論をしたと聞いているのですが何があったんですか?」


問いに少しうつむき。


「あれは……あいつがお嬢様の事を諦めたと言うので少し説教くさいことを言ってしまってそれで口論になりました。今となってあいつの言い分も分かるのですが長年見てきた私からするとどうも口うるさくなってしまいましてね」


「それからお話は?」


「まぁぼちぼちしましたよ。お互い私生活が忙しかったので話す機会は少なくなりましたけど、食事にも行きましたしあいつも根にもつタイプじゃなかったので」


どこか歯切れの悪い町田だが聞きたいことは聞けた。

少しのぼせて来たのでひと足さきに浴場を後にする。

浴場に手帳を持って行けなかったので夜風が気持ちい自室の机に手帳を広げ記録。


「何か掴めたの?」


隣には頭にタオルを巻く荒城。

首から落ちる水滴が妙に色っぽい。


「あぁ、日笠が言っていた菅原が掴んでいる健五郎の秘密がわかった」


「え!なになに」


「昔女湯をのぞいたことだそうだ。それも二人が共謀したからお互い秘密にしていたんだと」


無言の荒城。

重要そうな情報の中身がこんなだったら誰でも落胆するだろう。


「今日はここにきて最初の夜、気をつけないとだな」


「気をつけるって?」


「あの鳥が言ってたろ、この事件は「連続殺人」だって」


「あ……」


連続殺人は字の通りに連続して殺人が行われる事件。

その殺人時刻は定かじゃないが日付が変わる+皆が寝静まる時間が怪しい。


「まぁ手は打ってある、作用するかは知らないが」


「流石名探偵!それで手って何?」


「気づいているか荒城。俺たちの変化」


「……ん?」


「もう22時になるのに疲れるどころか眠気もない。つまり俺たちは疲れ知らずの体を持ってる」


その言葉を聞いて荒城はなぜか自身の両手をじっと見る。


「確かに!」


荒城はこんな天然キャラだっただろうか。

イメージとの差がすごく違和感。


「疲れないなら推論を決める最短距離を行ける、端的に言えば犯人と一緒に夜を共にする」


「……え!!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ