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山村殺人事件ー13

浴場に次期当主の健五郎がいた。

巴の二つ上の兄貴で話によると死んだ菅原はこの人の秘密を何か握っているらしい。

それが事件と関係があるかは未だ不明。


「先生はどう思うこの怪事件」


「そうですね、怪事件に見せかけた殺人だと思いますよ」


健五郎はそれを聞き蛇口をひねる。

そういえばこの時代でシャワーの普及率は相当低いはず、やはり名家か。

頭と体を洗った後は後ろにあったどでかい湯に浸かる。


「先生……こう言っては難だが、菅原は誰にも恨まれるやつじゃなかった」


「仲が良かったんですか?」


「小さい頃から巴と仲良くて俺も自然と遊ぶようになってな、言い方はアレだが小さい頃から分をわきまえている奴だったよ。まぁ一緒にいて苦慮はなかった」


目を閉じへりに寄りかかりながら上を向く健五郎。

感じからして嘘はない、本当に一緒にいて苦慮しなかったのだろう。

逆にいうと名家の坊ちゃんで普通の友達ができなかったのが想像できる。


「健五郎さんは今回の件を受けてどう思いますか、先ほどは恨まれる人がいないと言っていましたが怪しい心当たりとかは」


「そうだな、営利的私的を見てもいない。あいつが死んで嬉しい奴はいないよ、関心が無い奴ならいっぱいいそうだけどな」


関心の無い奴らか、まぁ実際そうなんだろう。

一介の使用人が死んだ所で日常が変わらない人たちがほとんど。

この事件も死体が消えなかれば葬られた日常になる……。


「そうか、それだ」


「どうした先生?」


「菅原さんは巴さんと昔仲が良かったと聞きますがその関係はどのくらいまで続いているか分かりますか?」


「そうだな……巴が10の年になる前だから5、6年前の話だと思うぞ」


「許嫁が決まったのはいつ頃ですか?」


「確か、ここ一年だと思うな。まさか巴の許嫁のために殺されたというのか?父様は確かに菅原の事を邪魔だと思っていたが殺すほどでは無いぞ」


わかっている、許嫁のために殺すなら現在進行形で付き合っているとか互いが譲らないという条件下のみ。

そもそも二人が付き合っていたとしても当主からすれば粗末な話、通せば幼馴染なんて関係も意味をなさない。

菅原はこの家で使用人をしているがそういう巴との色恋話は誰からも出ていない、もし隠れてあっていたという情報があればどこからか漏れているはず。

それを知っているだろう人物の目星はついている。


「あの、千谷さんから呼ばれて来たんですけど」


湯煙の中目の前に立つ甚平を着た男。


「お待ちしていました町田さん、菅原さんについて少しお話を伺いたくお呼びしました」


菅原と日頃から仲良くしていた使用人町田。

菅根から話を聞いた時に出てきた人物、普段は仲が良いのに最近は喧嘩別れをしていたという。

隣で湯に浸かっていた健五郎が俺側の腕を上げて手招く。


「まぁその前に町田、お前も入れ」


浴場に並ぶ男3人。

長風呂はあまり好きじゃ無いんだが、相手が相手なだけに我慢するか。

町田は恐らく今回の事件における最重要人物。



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