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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
10.最終日0時~6時:半死人の決心

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最終日04:15:33/トンネル/前田千尋

「浩司・・・・・待った?」


フラフラと、偶に視界が真っ赤に染まりながらも、トンネルの下まで歩いてきた。

そこには、私と違い、怪我一つない浩司がいた。

私の姿をみて、驚いた顔をして、何かを言いかけている。


「ああ、私はまだ向こう側の人間じゃないよ・・・・・・生きてる、生きてる・・・」


私はそう言って右腕を上げるが、激痛に顔を歪め、すぐに下してしまった。


「おいおい・・・・何があった?・・・・酷い怪我じゃないか・・・・・」

「はは・・・・撃たれて切られて殴られて飛ばされて落ちて・・・・私もしぶといよ」


浩司は私の体に触れようとするが、痛みに顔を歪める私を見て、躊躇している。

私は、そんな浩司に小さく笑いかけ、彼の右腕にしがみついた。


「決心、ついたんだろ?」

「ええ、やっぱり浩司が死ぬほかないみたい」

「ならさっさと殺ってくれ、俺も覚悟はできてる」

「ここじゃ嫌・・・・上に行こう?」


私は浩司の顔を見上げて言った。


「連れてってよ、私はもう動けない」


 ・

 ・

 ・


あの岬まで続く獣道を、普段の倍以上の時間をかけてゆっくりと登っていく。

理由は簡単。

もう私は歩くこともままならないからだ。

浩司の肩を借りて、何とか足を踏み出しているが、進むたびに崩れ落ちそうになる。


「さっき皆に会ってきた」

「はぁ?」

「義昭も加奈も、クラスの皆も今はもうこの霧と一体化してる・・・・」

「・・・・・まさか学校に行ってたのか?」

「綺麗な顔のまま死ねたんだ・・・・これから先の私とは違ってね」


私は腕にしがみつき、少し顔を赤くして、言った。


「好きな人と入れるって幸せなことだね」

「何言ってる?」

「初めて人を好きになれたな、この町に来て」

「・・・・・」

「・・・・・」


ようやく登り切り、展望台の上へと上がる。

私は展望台の手すりまで連れて行ってもらい、手すりに背を向けて寄りかかると、浩司の顔をじっと見つめた。


「私、ここに来るまではただの道具だったから・・・・・初めて一般人になれたって・・・」

「・・・・・」

「友達ができたのも初めてだったし、毎日が充実してたよ」

「・・・・・」

「全部浩司達のお陰さ・・・・・感謝してもしきれない・・・・」

「・・・・・」

「なのに、こんな最期になるなんてね・・・・」

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