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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
10.最終日0時~6時:半死人の決心

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最終日02:33:33/日向小中学校/前田千尋

「・・・ああ・・・・ごめん・・・・・・ね・・・・」


自分でも何が起きたかわからない。

気づけばブローニングのスライドは開きっぱなしになり、硝煙煙る教室には、クラスメイト達が倒れていた。

銃弾が貫いた部分からは、赤い霧が吹きだしている。


「全部浩司・・・・・・・の・・・・・せいなん・・・・・だよ・・・・・・」


フラフラとよろめき、教室の壁に体を押し当てると、全身の力が抜け、床に座り込んだ。


「アハハハハハハハハ・・・・・・・・全部!浩司のせいだ!」


「酷いよね!勝手に生贄なんかにされてさ!」


「死ななきゃ霧が晴れないだなんて!」


「初めて好きになった人を殺せって?」


「できるわけない!ここに来た時の私に言ってよそんなこと!」


「バスを降りて、浩司達に会った時の私ならきっとすぐにでもやってくれる!」


「でも、もう私には無理なの!」


「撃てるわけがない!」


「この町が一瞬でも好きになった私が馬鹿だった!」


「こうなるなら・・・・・・・・・こうなるなら私あの時・・・・・!」


膝を抱えて、ひとしきり叫んだ後、ハっと我に返る。

脳裏に浮かんだのは浩司ではなく、赤い霧の下で私の袖をつかんでいた恵美だ。


「・・・・いや、駄目・・・・・・・・・恵美だけは生きて返すんだ・・・・」


「もうあの子しか残ってない・・・・・・・・・・・・・・・守らないと・・・・」


「ここで私が死のうとも・・・・絶対に・・・・」


歪んだ表情を元に戻し、体中を滴る血の生暖かさを感じた。

手を床につき、立ち上がろうとしても、うまく力が入らず、手が滑り、無様に床に倒れる。


「・・・・」


もう一度、手をつき、半身を起こし、近場にあった机にしがみついて、体を強引に立ち上がらせる。


「あ・・・」


だが、流石に血を流しすぎたのか、すぐに力が抜け、受け身をとることも出来ずに床に倒れた。

頭を強打して、一瞬意識が吹き飛ぶ。


「・・・・・・」


息を吐き、血を吐き、呼吸を荒くした私は、もう一度机にしがみついて立ち上がり、そして壁に寄り掛かった。

左手に持ったままのブローニングの弾倉を捨て、最後の弾倉を突っ込み、スライドを閉じ、ホルスターに仕舞う。

スリングで肩に下げたM1を左手に保持する。


「あと少し、少しだけ持ってくれればいい・・・・・最期の数時間だけ・・・」


言い聞かせるように言い、うまく命令が伝わらない体に鞭を打ち、教室を後にする。

すでに閉じかかった両眼を思いっきり見開き、前を見て、ゆっくりと歩みを進める。


学校を出ると、私は、一旦立ち止まり、学校の方に向き直った。


「ごめん・・・サヨナラ」


そうつぶやくと一番好きな光景のあるあの岬の方に歩き出した。

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