3日目17:28:00/平元家前/北原直人
俺も彼も、腰が引けて立ち上がれない。
あの後、家に戻ってきた平元君と話しながら時間を潰していたが、家の周囲に異形が多いことを察知すると、俺らは2人で協力して脱出しようとのことで家を出た。
武器を持って、気持ちを震わせた俺らの前に・・・目の前に現れたのは、俺と共に、あるはずもない町を訪れたクルーだった。
多野正美と、桐原真由。
赤い霧を繕い、不健康なほどに真っ白い肌に、不気味な笑みを浮かべたその姿。
これまで見てきたどの怪物よりも見たくなかった姿に、思わず俺は後ずさった。
「・・・き・・た・・はら・・さん?どうして・・・そんな・・姿に?」
「さがし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たんだよー」
彼女達はこれまでの怪物のように攻撃してこない。
ただただジワリジワリと、赤い霧を体の周囲に震わせながら迫ってきた。
「おい・・あんたの知り合いか?」
「あ、ああ・・・・見つからないと思ってたが」
俺も彼も、手に持った銃を撃たずに、不気味に近づいてくる2人をじっと見ている。
何もしてこないのもしてこないで、怖いったらなかった。
腰が抜けた俺らの背後から、2発の銃声が鳴り響く。
それは、迫ってくる2人を撃ち抜いた。
バタリと倒れる2人・・・だったもの。
俺らは振り返ると、今まで以上に驚いた。
横にいた彼は、あまりの光景に情けない声を上げる。
赤い霧を繕った、彼の従妹だ。
さっきから一緒にいた女の子の手を引いてこちらに歩いてくる。
フラフラと、時折女の子に支えられながらこちらに来る。
「おいおい・・・あれ死んでないのか?」
「わからない・・・千尋?」
目の前まで来た彼女達に、俺らは息をのむ。
女の子のしぐさ的に、まだ彼女は人間側なんだろう。
「ああ・・・大丈夫だよ。ようやく落ち着いた」
セーラー服姿の彼女は家の前の石壁に寄りかかるように座り込む。
「一体どうして・・・?」
「ちょっと色々とあってね・・・さっきようやく落ち着いたよ」
さっきよりも少し饒舌になった彼女は、そういうと何もない霧の向こうに銃を構えて引き金を引く。
直後、霧の奥から断末魔が聞こえた。
「この辺りには奴らが多い・・・今すぐ消えたほうがいい」
そういって彼女はまた引き金を引く。
「行って・・・さもなくば貴方達も撃つ」
俺と、彼は目を合わせる。
遠くから聞こえてきた奴らの声を聴くと、俺らは彼女から離れていった。




