3日目14:14:42:日向町役場:前田千尋
「オール・・・ク・・・リア」
私は周囲の安全を確認するとともに倒れこんだ。
「あぐ・・・・ぅ・・・・ぅぅ・・・カハ!・・・・っ・・・・は・・はぁ・・・あ・・・ああ・・」
全身に痛みが走り、抑えきれない悲鳴と喘ぎ声が部屋に聞こえる。
呼吸は荒れて、嫌な汗が止まらなかった。
「あ・・・あ・・・痛・・・・い」
片手に持ったM1も手から零れ落ち、私は血に濡れたセーラー服の腹部を押さえ込んだ。
流れ出る血が手を汚す。
そんな私の傍にいる恵美は、さっきよりも狼狽えて、私の横に座り込んだ。
「お姉ちゃん・・・死なないで・・・」
「死・・・にはしない・・・エミ・・・」
私は何とか力を振り絞って体を起こす。
「あああ!・・・・・ああ!」
痛みに悲鳴を上げるが、何とか意識を飛ばさずに壁に寄りかかった。
腹部から流れる血も、そろそろ止まるころだ。
右腕も撃たれたが・・・こちらは掠めただけだから大した問題はない。
だが、腹部は弾が貫通しているせいで厄介だった。
仕込んだ鉄板も、破片が体に食い込んでしまっている。
私はガックリと項垂れる。
一瞬飛びかけた意識を戻ると、恵美の手が私の腹部を押さえた。
彼女の細い手に私の血がにじむ。
「エミ・・・大丈夫・・・少し経てば・・・大・・・」
最後まで言えずに、私はバタリと崩れ落ちた。
「大丈夫じゃないよお姉ちゃん!・・・お姉ちゃん!」
私は叫ぶように呼ぶ彼女の声で気を保たせる。
もう一度起き上がると、焦点が合いにくくなった視線で彼女の眼をしっかり見つめた。
「いい・・・?私は・・・・貴女の姉になるの・・・ね?最後まで・・貴女を見捨てはしない・・・」
痛みに顔を歪ませながら、私は彼女に言った。
彼女はそんな私を見て、何とも言えない表情になる。
「もう・・・心配しないで・・・・言ったで・・しょ・・・」
「今すぐ・・・・とは・・・い・・かなくても・・・カハ!・・・ああ・・・大丈夫・・もう平気さ」
私は口を動かすが、言葉が出ない。
私は自由な右手を彼女の頬に伸ばす。
歪んだ笑い顔を向けて、頬を撫でると、私は強引に立ち上がった。
「この国の・・・兵器だったんだ。私は・・この程度で死にはしないさ」




