3日目11:59:27/向日葵畑/前田千尋
「綺麗だね」
恵美は咲き誇る向日葵を見ていった。
私は、周囲を警戒しながらも、彼女の言葉に頷いた。
「そうだね、この向日葵をちゃんと太陽のほうに向かせたいね」
私はそう言って彼女の手を引く。
この畑の真ん中にある小屋。
そこをちょっと覗いてみたかったのだ。
どうせ町の中は異形が蔓延っている。
だから、生存者がいるとすれば町の外周だ。
教会、学校、図書館、病院、公民館、役場、港・・・そこらへんはよく通るが・・・ここ、向日葵畑は例外ではないか?と思った。
ここは港と商店街から来れるが、ちょっと道が狭いおかげで訪れにくい。
だから、見つからないのはここにいるのではないか・・・?と考えたわけだが・・・
私の考えは外れだった。
誰もいない小屋を見回して、中に入る。
目を瞑ると、誰かの視線が映り込んだ。
真っ白くない、小麦色の手に持った銃・・・
菊の紋章の入ったレシーバー・・・そして銃口に取り付けられた銃剣・・・
神主だ。
こちらに近づいてきているところを見ると、私達のどちらかの視線をのぞき込んだのか?
私はすぐに目を開けると、恵美を見た。
「恵美、いい?」
「どうしたの?」
「そこに座って、棚の中を見てて」
私はそう言って彼女の背中を押した。
私は扉の横に立って目をつぶる。
ゆっくりとこちらに歩いてきている。
そして、扉がゆっくりと開かれたところで、私は目をパッと開いた。
「な!?」
歳と長いライフルのせいで動きが鈍った神主の姿勢を崩して襲い掛かる。
間合いに入ったとき、振り回されたライフルの銃口が顔を掠め、頬を銃剣が切り裂いたが、私は気にせずに神主を蹴り上げて、手からライフルを落とすと、数発喉元を殴ってから背負い投げた。
「・・・何の真似?さっき私を撃ったのも貴方でしょう?」
地面に伏せた彼の額にM1の銃口を向けていった。
一発だけ、彼の持っていた歩兵銃を撃ち抜く。
神主は、咽て過呼吸になりながらも、私をじっと睨んでいた。
「邪魔はしないでくれない?」
そういって、引き金に指をかけたとき、銃声が鳴り響く。
神主の倒れた付近に銃弾が飛んできた。
「チ!」
私は開きっぱなしだった扉を閉めると、倒れて咽る神主を無視して、小屋の奥で蹲る恵美の手を引いた。
窓を破ってそこから脱出する。
そして、向日葵畑の中へと入っていった。




