3日目11:36:14/片岡家/前田千尋
私は恵美の家にいた。
たまたま、通りかかった道に異形が多く、道を変えた先が恵美の家の通りだったのだ。
さっき、彼女には私のすべてを話した。
それで気が楽になったとは言えないが、信じられない話を耳にしても、決し私を見る目が変わらなかったのは随分と心強い。
握られた手つきは、最初のころのすぐに解けそうなものから、随分と強固になったものだ。
私は恵美の部屋に座って周囲の異形が散って去っていくのを待つ。
「恵美、向日葵畑に行こうか?」
「え?」
「・・・浩司の居場所を探そうとも・・・邪魔が入る。まずはそっちから片したくってね」
私は軽くM1を点検し終えると、安全装置を解除した。
「邪魔・・・?」
「うん。私のことを撃った人からってこと」
「え・・・?お化けじゃないの?」
「まさか、生身の人間さ」
私は徐々に元の調子を取り戻していく。
横にいた恵美は私を見て、口を開いた。
「神社の神主。佐藤清志と北原とかいう可笑しな格好をしたカメラマン・・・彼らをどうにかしないと」
私はそう言って目を瞑る。
周囲の異形たちは何処かへ行った。
私は彼女の手を取って立ち上がる。
先ほどからずっと、傷口が痛むが、今はそんなことは関係ない。
「行こう・・・」
そう言って私達は彼女の家を後にする。
目的地は、港からほど近い向日葵畑だ。
「お姉ちゃん」
「何?」
「頑張ろうね!」
不意に見た恵美の笑顔に、私は思わず立ち止まる。
そして、私も少しだけ、不器用な笑顔を浮かべた。
「頑張ろう・・・そして恵美を生きて返すんだ」
そういって、銃を持った左手に力を籠めた。




