3日目11:26:09/水産加工場跡/佐藤清志
「本当にしつこい上司だ」
俺はそうつぶやきながら物陰に隠れた。
どこから弾を補充しているのか、尽きることのない桜井の銃弾。
さっきから隠れた部分に向けて数発撃ってきた。
奴の使う歩兵銃は、俺のよりも新しい型だ。
7.7ミリという大口径弾を使っているせいで遮蔽物を貫通して弾が来る。
「どうした・・・?清志。その程度か?」
以前よりは格段に人間らしい話し方になった。
だが声は甲高く、元の老人のような声ではない。
俺は頬を掠めたのを機に影から飛び出す。
無駄玉は撃ちたくないから、遮蔽物を移動しながら奴に近づいて行った。
目を瞑り、奴の位置を把握しながら進む。
銃を持った奴は、腕を赤い霧に溶かして襲ってこない分、対処は楽なものだ。
当ったら只では済まないが。
何発か放たれたが、当たることはない。
俺はジワリジワリと奴に近づいていく。
そろそろ、奴の銃弾も尽きていいころではないか?
俺は目を瞑って奴の視界を見る。
まだまだ残弾はあるようだ。
クリップを銃に差し込む姿が見えた。
「無尽蔵かよ」
俺は影から飛び出ていったん奴の射線を逃れる。
無残に崩れ落ちた水産加工場の裏手を回る。
裏を取れればこっちのものだ。
俺は小走りで裏手に回る。
そして、奴の背後の道に出ると、視界を奪い、奴がこちらを見ていないのを確認すると、ゆっくりと奴に近づいていく。
赤い霧にシルエットが映り、そして奴の姿が映った。
肌が人間とは思えないほどに白い桜井の姿。
俺はそいつの首元めがけて突進する。
そして、気付いたころには、銃剣が桜井の首元を抉り取った。




