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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
7.3日目2時~6時:闇を行く者の末路

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3日目02:19:33/日向小中学校/前田千尋

「恵美、怪我はない?」


私は体に落ちてきた蛍光灯やら木の破片を払いのけながら言った。

首や顔に切り傷ができたが、問題はない。

蛍光灯が利き手側の肩に刺さったのが痛手だが・・・今のところ痛みとかは出ていなかった。


「ううん。大丈夫」


彼女は、私の顔を見ると首を振って答える。

私は一先ず安心すると、彼女の手を取って立ち上がる。

大津波に襲われたということは・・・きっと時も進んでいるはずだ。

案の定、時計は2時20分を指していた。


周囲は、赤い霧に覆われているのは当然として、少し建物の劣化具合が増したように思える。

さっきまでは人が消えて少し経ったくらいの廃墟といった感じがったが、今は建物の所々が破損して、崩れ落ちている。

地面が湿っていることから、昨日のように津波に襲われたのに何もなかった・・・なんてことはなさそうだ。


私は、いったん教室内を見回って、窓の外を眺める。

深い霧の中に動く影はない。

気づけば浩司もどこかに去ったらしい。

津波が来たので、そう遠くにいないはずだが・・・


左手に持ったM1を構えなおして、教室の扉のほうへと視線を向けると同時に、何かを引きずる音がした。

荒い息遣いが聞こえる。


「恵美、私の後ろに・・・目をつぶってて」


私はそう言って彼女を背後に隠すと、教室の扉を開けてきたのはセーラー服を着た少女だった。


「加奈・・・?」


私は脳裏にさっき撃った彼女の成れの果てのような姿を思い出しながら言う。

だが、今の彼女は体中の傷跡から赤い霧を吹き出しながら歩く死体だった。

どこから持ってきたのか、黒い外套のようなものを羽織り、肌は異様なまでに白い。

その表情は不気味なほど無表情で、虚ろな目はしっかりと私を捉えていた。


私は何もしてこない彼女に一種の恐怖を覚えながら様子を伺った。

何もしてこない・・・?そう思った矢先、私の体は宙に浮いて吹き飛ばされる。


「カハッ!・・・」


腹部に衝撃を受けて教室の壁に叩きつけられた私は、すぐに起き上がると、落としたM1の代わりに、ハイパワーを取り出して彼女を撃った。


数発撃ちこむと、彼女は甲高い悲鳴を上げながら倒れていく。

私は膝をついて荒れた呼吸をただすと、ハイパワーをホルスターに仕舞い、M1を持って立ち上がった。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「ええ・・・なんとか」


私はズキズキと痛む腹部・・・をさすりながら、倒れた加奈を見下ろした。

彼女の腕が届く距離でもないのに・・・殴られた。

それを不思議に思いながら、彼女を見下ろすと、なくなった右腕が赤い霧に包まれながら浮かび上がってくる。


「霧の中に紛れてる?・・・キツイ冗談だ」


私はそれを見て、何が起こったのかを理解すると、恵美の手を引いて、加奈が復活しないうちに教室を後にした。


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