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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
6.2日目12時~20時:引き換えの命

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2日目17:34:09/民宿「ひまわり」/前田千尋

「・・・」

「大丈夫?」


私は右腕を抑えながら椅子に座る。

恵美が少し心配そうな顔をして言った。

私は手をひらひらと振って答える。


「大丈夫」


流石に、動きの遅い子を庇いながらの探索は厳しいものがある。

気づかれぬように行動しても、何回かは奴らに気づかれた。

銃を撃てばいいのだろうが、銃声で周囲の異形に感づかれて囲まれるのが見えたので、仕方がなく殴り殺しているのだが・・・


何発かは喰らうものだ。

一般人風情なら、一発ももらわずに殺せるのだが・・・


彼らは人間じゃない。

人間とは思えない速さと力で体を動かす。


何度か顔と腹部を殴られ、危うく馬乗りにされたが、何とか乗り切ってこれた。


ついさっきも、刃物を持った異形に右腕を切られた。

血を止めて、包帯を巻く。


徐々に体温が上がって熱いので、上着のジッパーを開けて、袖も折って捲って風通しを良くした。

腹部に喰らった銃弾の部分の巻いた包帯と、右腕の包帯が見え、そこが赤く染まっている。

私は少しだけ体を休めると、すぐに立ち上がって恵美の手を取った。


「行こう・・・」

「何処に・・・?」

「彼は武器を持ってない。だから目的を果たせばどこかに隠れてるんでしょうきっと」


私は旅館の扉を開けて周囲を見回す。

刻一刻と深くなっていく霧のせいで遠くがよく見えないが・・・周囲には何もなさそうだ。


「いい?恵美だけは生きて・・・ここを出るの」

「・・・・・・」


何度も何度も彼女に言い聞かせるように言う。

彼女はそのたびに頷く。

これは私への言葉でもあるんだ。

恵美だけは、ここから必ず生きて返す・・・それがいま私にできる最低限の事だから。


私は切られた右手の痛みを感じながら、足を踏み出した。

腹部も歩くたびに痛むがもう慣れた。


一先ず学校へ行こう・・・・

彼の行き先がどこかは知らないが・・・行きそうな場所をつぶしていくしかない。

もう、家にも神社にも、役場にも行ったんだ。

あとは学校か、教会だ・・・


私は痛みを発する体に鞭を打って足を踏み出す。

そして、体を赤い霧の中へと溶かしていった。


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