2日目15:27:45/水産加工場/多野正美
「もう、ダメ・・・疲れたよ」
私は建物の一室に座り込む。
手に握った武器代わりの果物ナイフには、血がこびりついていた。
ここまでくる際に1人・・・多分この町に住んでいた中学生?位の子を刺したのだ。
それ以外は、彼女・・・真由と上手く切り抜けてきて・・・今に至る。
結局、怪物がいない方向をたどってきたのは、最初のほうに居た港。
水産加工場?のようなところの、2階にある事務室的なところにたどり着いた私たちは、周囲に怪物がいないのを確認すると、緊張の糸が切れた。
「これから、どうするの・・・?」
「・・・最初はさ、映画の主人公みたいにどうにかできる!って思ってたけど・・・」
私の問いかけに、彼女は薄笑いで言った。
「やっぱりさ、ダメね・・・」
「・・・わかりきってたことだけど」
「いやー・・・助けを待とうよ、ここで。ここなら暫くは誰も来ないだろうし・・・」
壁に寄りかかって座った私の前で、彼女は部屋のものを扉の前にずらし始めた。
「バリケード代わりにね・・・」
彼女はそういうと、血に濡れたメスを置いて私の横に座り込む。
「・・・他の人、どこにいるんだろうね」
「探しに出たくはないな・・・」
「そうね・・・もうここで待つしか・・・」
私達は偶に聞こえる銃声に、身を縮めながら暗く赤い霧が煙っている部屋で息をひそめる。
部屋にかかった時計は、3時半を指しているが・・・それは果たして本当の時刻なのだろうか?
遠くでまた、一発の銃声が鳴り響いた。
今度は近い場所だ。
それから、少し経つと、空いた窓から何者かの蠢く声が聞こえてくる。
誰かが近くにいるらしいが・・・それと同時にあいつらも連れてきたらしい。
私はその誰かを呪いながら、体を震わせる。
先ほどまで、普通に外を歩けていたと思えないくらい、恐怖心が蘇ってきた。
もう一度、銃声が聞こえる。
今度はハッキリと甲高い断末魔が聞こえた。




