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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
6.2日目12時~20時:引き換えの命

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2日目14:26:06/日向町立病院/前田千尋

「その・・・」


机の上に置いてある資料に懐中電灯を当てて、読みふける私に、恵美が語り掛けてきた。

私は、一度読むのをやめると、視線を彼女に向ける。


「・・・・お姉ちゃん・・のお兄さん・・・死んじゃうの?」


彼女は、何とも言えない神妙な顔で言った。

私は、持っていた資料を持ったまま、彼女の眼を見て固まる。


少し経った後、首を振った。


「最悪の手段はね・・・・でも、他に手はあるはず・・・」

「・・・・」


私は、資料を折りたたんでポケットに入れると、立てかけていた銃を持って立ちあがった。


「理由は分かった・・・でも・・・いや・・・まずは浩司を探さないと・・・神主に見つかれば即殺される」


そう呟いて、恵美の手を引いて部屋を出る。

目をつぶって、周囲に誰もいないことを確認すると、私は赤い霧に向かっていった。


きっと、彼が殺されれば、予定通りこの町に電波が流され、記憶から彼が消える。

そうすることで・・・そうしなければこの町は過去の呪いをかわせない。


私は、銃を構えて周囲を警戒しながら足を進める。

頭の片隅には、嫌になるくらい、この町の暗い裏側のことでいっぱいだった。


とにかく・・・今は早く彼を見つけなければ・・・


私は、目についた異形に見つからないよう・・・恵美が疲れないように、じわりじわりと町を進んでいく。

彼女とつないで手を絶対に放さないように、私はそっと前に進んでいった。


行く当てはない。


この町のことはもう知り尽くしているし・・・この状況になってから何かが起きそうなところはすべて行った。

だが、浩司が行きそうな場所といわれると、ピンと来なかった。


遠くで神主の銃が響く。

銃声が鳴り響くのを聞いて、一瞬身構えたが・・・反撃するかのように別の銃声が鳴り響いた。

どうやら、先生を殺した異形が蘇り、やりあってるだけらしい。

どうせなら、神主も仕留めてくれればいいのにと思った。


私は、町の商店街まで出ると、いったん呉服屋に入っていく。

中に誰もいないのを確認すると、彼女を適当な椅子に座らせて、私は床に腰を下ろした。


「そういえば・・・お母さんはまだ生きているのかな・・・?」


私は、ふとさっき撃った父親のことではなく、彼女の母親のことが気になった。

すると、彼女は首を左右に振る。


「先生と逃げるときに見たの。お母さん、もうああなってた」

「・・・そう・・・貴女、兄弟は・・・いるの?」

「いない」


そういった恵美は、ガックリと下を向いた。

私は自分の迂闊さを呪いながら、誤魔化すように銃を担ぎなおす。


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