2日目12:26:58/日向大衆食堂「いこい」/前田千尋
「お腹空いてたりしない?」
私は食堂内に入ると、彼女に問う。
恵美は首をフルフルと横に振った。
家を出て、もう結構経つが・・・異形の数が多いせいで前に進めない。
この食堂に入ったのは、彼女の休憩も兼ねているが・・・外の通りは何かの催し物があった時くらいに奴らが居た。
悪いことに、公民館からここまでの彼らを、さっき殺して回ったせいで・・・外の異形は皆人とは呼べない姿になっている。
私は、窓から外の様子を見て、ため息をつくと、すぐに彼女の手を引いた。
最悪、私一人なら見つかってもいいが・・・恵美が見つかると厄介だ。
「裏口から行こう・・・」
私はそう言って彼女と裏口まで進む。
その直後だった。
食堂の扉が開かれたのは。
「・・・行ってそこに隠れてて」
私はそういうとすぐに振り返る。
「あ・・・お父さん・・・なの?」
私のほうを向いていた彼女の言葉に、私は構えたまま怯んだ。
現れたのは、左半身が何か木材などの資材と合体したような姿の男。
私服姿で、まだ若い。
「恵美・・・彼はもう・・・」
私は、彼女を制して外に出すとこちらにゆっくりと歩いてくるそれに弾丸を放った。
一発で頭を吹き飛ばすと、私は裏口から出て、彼女の手を引く。
小走りになって、すぐに食堂から離れた。
商店街の入り口・・・日向の玄関口に来ると、私は走るのをやめて、どこか適当な家の軒先に彼女を座らせる。
「・・・・」
私は、彼女の視線に合わせるようにしゃがんだが、かける言葉が見つからない。
「・・・いいよ。お父さん・・・もう・・・」
彼女の消え入りそうな声に、私は力なく首を振った。
「お姉ちゃん。強いんだね」
「・・・・いや・・・恵美の強さには負ける・・・かな」
私は、こんな状況でも健気な彼女にそういうと、彼女の手を取る。
「行こう・・・図書館まで・・・」




