2日目09:25:06/日向町立病院/桐原真由
「丁度良かったね・・・」
私は眼下の光景を見ながら言った。
さっきまでは閑古鳥が鳴くくらい人が居なかった道に、今はチラホラと何人かが見える。
皆、生存者ではなく、すべて怪物だが・・・
今、私たちがいるのは・・・病院の最上階。
その一室にカギをかけて閉じこもっていた。
「うん・・・なんで一気にあんなに・・・?」
「わからない・・・ただ、あの本が正しいなら、何かのお祭りが原因みたいだけど・・・」
少しずつだが、正美も元の調子に戻り始めてきた。
「でも、今はそんなこと考えてる場合じゃないわ・・・この地区からでないと、やがてここにも奴らは来る・・・」
「そう・・・・みたいね」
「何処も同じじゃないはず・・・とにかく今はあの子が言っていた教会に行こう・・・」
私は院内からかき集めた、とりあえず武器になりそうなものをテーブルに広げて、適当にメスを手に取る。
正美も、果物ナイフを手に取った。
「覚悟はいい?もうグズグズしてたら死んじゃうよ?」
「うん・・・大丈夫・・・行こう」
私達は、そう言って震える体に鞭を打って、部屋を出た。
まだ、人のいない病院。
その非常口から外に出て、階段を下りて地上に出る。
「入れ替わりで目を閉じて・・・奴らの目を盗んでいくの」
私は道に出る前に、そう言った。
「位置を教えてくれれば、そこを避けて手を引いていく・・・それでいいでしょ?」
「うん」
「だから、まずは私が目をつぶるから、あなたが手を引いて」
私はそう言って彼女に腕を突き出して目を閉じた。
すぐに、周囲の異形の視界を盗み見る。
「後ろにはいない・・・前の・・・そこの交差点の角に1人・・・あ、遠くに行ったかな?」
私がいうと、彼女が手を引いてくれる。
とにかく、この手で教会まで行くしかない。




