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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
4.2日目2時~6時:霧の奥の腕

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31/78

2日目05:58:05/日向町役場/前田千尋

「誰かに見られてる気がする」


私はそう言って町役場の中へと入っていった。

ついてきた浩司も、私の言葉に不安そうな顔をする。


「見られてる?」

「さっきは結構いたあの異形の数が少ないのもおかしいけど・・・誰かになんかこう・・・見られてるような・・・」


私は役場の入り口で、そう言って目を閉じた。

今はこの動作が索敵の動作だ。


目を閉じて、浩司以外の視線を探す。

すると、私たちのいる役場の奥の方に何かが居た。

その視線を見ていると、細い何かを取り出して・・・金属が擦れる音がする。

暗がりからも、ライフル銃の機関部の菊の紋章がハッキリと見えた。


「浩司、出よう!・・・」


私は目を開けてそういうと、彼の手を引いて外に出た。

その直後、派手な轟音とともに、私の腹部を銃弾がかすめていく。


「痛ゥ・・・・!」

「千尋!大丈夫か?」

「かすめただけ」


痛みに顔を歪めながら、私達は適当な民家に飛び込んだ。

玄関口で、銃を構えて待つと・・・背丈のがっしりとした老人が、ライフル銃を構えてゆっくりと出てきた。

赤い霧が周囲に漂っているのを見る限り・・・彼も異形の者だが・・・それにしては、今までの者よりも原型がある。


「どうして私達が見えたの?・・・あの視界からは私も浩司もいなかったというのに」


いや、撤回。

シルエットだけだ。

その表情も、腕も足も何もかもが・・・さっきよりも酷い。


私は掠めた腹部から流れる生ぬるい血の感覚を感じながら・・・引き金を数回引いた。


すると男は上半身の一部を吹き飛ばしながら、地面に伏せる。


「なぁ、止血しなくてもいいのか?」

「ああ、するよ・・・」


私は銃をいったん床に置くと、上着を脱いで彼に渡す。


「ポケットに消毒液と包帯があるから取ってもらえない?」


上半身だけ下着だけになって傷を見ると、かすめただけだというのに結構抉られていることが分かった。


「ほらよ」

「ありがとう」


私は手際よく自分の体に消毒液をかけて包帯で縛った。

液が傷に染みた痛みがあるが・・・動く分には関係ない。


インナーシャツを着て、ハーネスを付け直し、上着を着ると、私はすぐに立ち上がった。

それを彼が止める。


「動くなよ。その傷なんだ、暫く休もう」


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