2日目04:15:26/日向町立図書館/桐原真由
「やっとついた・・・」
私はそう言ってへたり込んだ正美を立たせると、奥の方まで引っ張っていき、椅子に座らせた。
図書館は、荒れていたが・・・きっとこの場でも生きている人とあの怪物との間で何かがあったのだと察せる。
とりあえずといった感じで訪れた一番奥のコーナーは、特に酷く・・・窓は破られており、本棚の近くにはおびただしい量の血痕があった。
間違いなく致死量といった感じの量・・・
私は机に突っ伏した正美がこれを見ないで済んでよかったと胸をなでおろす。
あの津波の後から、私達は目をつぶると誰かの視線が見えるようになった。
それが、あの怪物の目線だということに気が付いたのは、あれからすぐ。
だから、私達はさっきほどビクビクしないで町を散策できた。
・・・といっても危険なことに変わりはないのだが・・・
「ここ、誰か調べものしていたみたいね」
私は、本棚に戻しかけの本を持ってきて、彼女の前に座った。
正美は、体を起こすと、私の持ってきた本に目を向ける。
「伝承・・・?」
「郷土資料のコーナーにあった本なのよ、誰か見てたみたい」
「・・・たまたま落ちてたとかじゃなくて?」
「なのかな?」
私はペラペラとページをめくっていく。
「廃墟なんだから・・・もともとそうなのかもよ?」
「・・・それもそうか」
そういうと、パタンと本を閉じた。
「・・・そういえば、いないね・・・生きてる人」
「いたとしても、あの男みたいなのは勘弁してほしいわ」
「だねー・・・」
私達は少しだけ気持ちを落ち着けた。
現実味のない、赤い霧が立ち込めた町の中だが・・・
「・・・そういえばなんでここまで来たんだっけ?」
「あー・・・そういえば」
私の言葉に、正美がハッとした顔になった。
「調べるためだった・・・持ってる本はある意味正解だったのね」
そう言って、私は一度閉じた本を開く。




