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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
4.2日目2時~6時:霧の奥の腕

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2日目02:12:36/平元家/前田千尋

「行った?」

「・・・うん。入ろうか」


私は暫く構えたままで止まっていた姿勢を崩して前に進む。

あの大津波で、一時的に意識を失っていた私達が気付いたのはついさっき。

腕時計を見る限り、2時10分ちょっと。この怪異からもう1日が経過していた。


のしかかられたまま気絶していたので、起きるときにちょっと気まずい思いをしたが・・・それも由紀子の家を出てすぐに散った。


赤い霧が深く、濃くなり・・・そして目をつぶって集中させると、何かが視界に入る。

あまりの現実味のなさに目を開けると、浩司も同じ思いをしたらしく、顔を青ざめさせていた。


「結局何なんだ?誰かの視界が見えてるっていうのかよ」

「・・・・・・ああ」


家に入っていき、彼の言葉を聞いた私はハッとして彼の顔を見る。


「目をつぶって、私の視界が見えるんじゃない?」


私がいうと、彼もすぐに目をつぶる。

そして、すぐに目を開くと、口を半開きにして苦笑いした。


「合ってる・・・何なんだ?気づいたら俺らもあいつ等の仲間入りか?」

「さぁ・・・案外そうかもよ?実はおかしかったのは私達の方で・・・正常だったのは彼らだと」

「たまったもんじゃねぇな」


そんなことを言っているうちに、私の部屋まで来た。

家に立ち込める煙草の臭いから察するに、やはり生存者の誰かがいたようだ。


そして、その誰かさんは私のケースを見ている。

私は、ケースを開けて弾薬類を見たが、取られているということはなかった。

津波前も、駐在警官の拳銃とは別種のライフルみたいな銃声が鳴っていたが・・・あいにく弾薬は違うらしい。

だからどうしたということだが・・・


私は浩司をベッドに座らせて、自分は椅子に座って空になった弾倉に弾を込めていく。

ついでに、何発かポケットに弾を入れた。

そろそろ、外部に連絡を取らねば・・・

弾はあと2日持ちそうだが・・・その前に私達が飢えで死にそうだ。

この状況だから、空腹も感じられないが・・・きっと飢えに苦しむ時が来るだろう。


「先生たちと合流したら、外部に連絡を取らないと・・・といっても、電話もダメで道は繋がっていないんじゃどうしようもないけど」


私はそうつぶやきながら、弾を込め終えた弾倉をM1とハイパワーに入れた。


「どうなってるんだろうな・・・何なら先生方の他に生きてる奴はいないのかよ・・・?」

「どこかでなってた銃声の主が生きてるといいんだけど・・・流石の私も囲まれたら無理だから」


私はそう言って、M1のコックレバーを引いた。

カシャン!という音とともに、初弾が薬室に送り込まれる。


その瞬間、メイン通りの方から銃声が鳴り響いた。


「まだ向こうは人が多いのね・・・迂回しましょう、一回トンネルの方まで出て・・・そこから公民館に」


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