2日目02:07:03/平元家/佐藤清志
突然の大津波に飲み込まれ、もうダメかと諦めたが・・・
何故か俺は無傷だった。
家も、部屋の調度品も、すべてが何もなかったかのように、さっきのままだ。
闇の中を歩くのには欠かせない歩兵銃も無事だった。
俺は、より濃くなった霧を恨むような目つきで見ると、銃を持って立ち上がる。
「待つよりも、探すほうが早いか・・・手間のかかる男だ」
そうつぶやくと、平元の家の玄関を開けて周囲を見回した。
あの異形の者はこの近辺にはいないらしい。
先ほどまでは聞こえていた呻き声のような鳴き声も、一切聞こえない。
ただただ、街灯に照らされた赤い霧が町を覆っていた。
銃を構えて、照準眼鏡で遠くを見ることはできるが・・・
俺は玄関から一歩踏み出して、当てもなく歩き出した。
役場の一室から始まって・・・教会、漁港、向日葵畑・・・そしてこの家・・・
奴も逃げまどっていることだろう・・・だから今まで行った場所にいるかもしれない。
だが・・・居るとすれば何処だ・・・?
今まで見てきた異形の中には・・・まだ奴の同級生が居ない。
だったら・・・奴と一緒にいるのか?
一人は銃を持っているとすれば・・・そして、腕が立つのであれば・・・そして、息をひそめる場所があるのなら、確かにある程度の安全は確保できるだろう。
だとしたら・・・学校か?
俺はそう思って、とりあえず町の通りに出た。
向日葵の咲くロータリーにつながる、メイン通り。
そこで、俺は今までの考えが外れたことを知らされる。
遠くの人影に身を隠すと、向こうからセーラー服姿の異形が姿を現した。
傷のある場所から赤い霧を吹き出しながら・・・当てもなく歩いていく。
その姿は、どこか知り合いを探すかのようだった。
周囲を見回しながら・・・恐らくもう存在しない自我ではなく、本能で友人の姿を探しているのだろう。
俺は、その姿を見送ると、息をひそめて家々の間に入っていく。
先ほどまでしなかった奴らの呻き声がまた聞こえ出した。




