表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
3.初日12時~20時:血に染まった大津波

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/78

初日19:57:33/元川家/前田千尋

「由紀子の家は安全といってもよ、何で目と鼻の先の家に戻らなかったんだ?その、弾の補充とかもあるだろ?」

「・・・いい質問だよ。浩司。貴方時代が時代なら私の居た組織でもやってけるんじゃない?」


私達は、ついこの前引っ越して行った由紀子の家に入り込んでいた。

まだ、家主が出ていって日が浅いから、未だに人の気配が残っている。

廃墟のように変貌した町の建物の中でも、ここは比較的ダメージが少ないのも、それに拍車をかけていた。


「私の部屋の窓から、誰かの人影が見えた。それだけ」


私は、由紀子の部屋のベッドに腰かけながら言う。

私の家に戻る・・・あと少しというところで、私は自分の部屋に人の影が見えることに気が付いた。

それは、異形の人間のようなフラフラとして挙動ではなく、生きている人間らしい動きをしていた。


きっと生存者だ。

だが、何故か合流してはならないような気がした。


「それって生きてるやつじゃないよな?」

「いや。分からなけど・・・今はとにかく家からその影が出ていくまで待つつもり」


私は、そういってM1を軽く点検した。


「あの影次第では、公民館まで大分かかる・・・弾も・・・あと1弾倉分じゃ心もとない」

「・・・ああ、あの場はきっと破られないよな?」

「恐らく・・・大分固い壁だった。何で作ったの?」

「そこら辺の棚だの机だのをドアの前に置いてるだけだよ」

「そう・・・なら、撃たないほうが良かったかもね」


私は由紀子のベッドに倒れながら言った。

かすかに残る、由紀子の感覚が私の疲れを取ってくれる。

浩司は、少しだけ不思議そうな顔をすると、私に続きを促した。


「義昭や、加奈みたいに・・・一度倒れた彼らは、もっと酷い姿になって甦るの・・・あの周辺の者は皆今頃ああなってるでしょうね・・・、ま、商店街までは引き付けられたから良いけれど・・・ん?」


私は、ベッドに横になったまま地鳴りのような音が鳴るのを感じ取る。


「何?」

「千尋、外だ外!」

「え?」


窓の外を見た浩司は血相を変えて私の方へと飛び込んでくる。

津波の轟音だと気づいたのは、それからすぐのことだった。


「津波だ!」


その言葉とともに、浩司は私に覆いかぶさるように飛びかかってきた。

そして、抱きしめられると同時に、壁が壊された音が耳に入る。

直ぐに破片や水が私達に襲い掛かる。

私も、彼も、大した準備もできずに襲われた津波に、成す術もなく意識を手放した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ