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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
3.初日12時~20時:血に染まった大津波

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25/78

初日19:22:34/日向漁港/北原直人

「畜生が!」


俺は思いっきり力を込めて鉄パイプを振り下ろす。

何度倒れても這い上がってきた化け物は、ようやく地に伏せた。


どうせ一時的なものだろうが・・・チョロチョロと蠢きながら動かれても困る。

息をあげながら、俺は漁港の・・海の向こうを見た。

真っ赤な空の下。真っ赤な水がずっと続いている。


波にも揺れないその水は、空の様子を明確に反映していた。

覗き込むと、俺の影が映し出される。

鏡のような水面は、ハッキリと「俺が化け物になった姿」を映し出した。


「趣味が悪いな」


そういって道端の石を蹴飛ばす。

揺れなかった水面に、小さな波が出来た。


行く当てもなく、ただただ逃げるように来た漁港。

さっきまでいた場所の方から化け物の蠢き声が、風に乗って聞こえてくる事を考えると、ちょうど奴らと入れ違いになったのか、ここ一帯には化け物の数が少なかった。


丁度、さっき倒した奴のように、居ないわけではないが・・・

とにかく、一旦どこかへ隠れよう。


そう考えながら、漁港の道を歩いていると、背後から音が聞こえた。


一瞬で背筋が凍り付き、瞬きが出来なくなる。


振り返ると、倒したはずの化け物が、何か周囲の物を巻き込みながら再生している真っ最中だった。

俺はとりあえず、陸に上がっている船に飛び込んで、懐中電灯を消して様子を見守る。


何時かの駐在警官のような、人間の形をしていない化け物が出来る様子を見てしまった。

起き上がりながら、周囲の砂から草まで何から何まで巻き込んでいく。

近場にあった、死んで腐った魚まで取り込んで出来上がったのは、元の中肉中背の中年男の歩く死体から・・・体つきが1回りほど大きくなり、体の所々を砂利と草で覆った化け物だった。


2足歩行こそすれど・・・バランスが悪いのか、フラッフラだ。


俺はその様子を見終わると、そっと離れていく。

漁港から、少し戻るとトンネルがある。

幸い、今は周辺にあいつ以外の化け物は存在しない。


俺は道路の端を、腰を低く小走りで駆け抜けると・・・トンネルの入り口までたどり着いた。


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