初日17:05:33/日向町役場周辺/前田千尋
私はほんの少しだけ、気持ちが荒れていた。
浩司を外へ逃がしたと思ったその30分後、焦った顔をした彼と再会した。
外に向かって歩いているのに、気づけば此方に来ていたそうだ。
今度は私がついて行った。
でも結果は同じ。
何度やっても結果が変わらない。
無駄なことはしない性格だが・・・柄にもなく何度も外へ行っては教会まで戻ってきた。
あの狭い道路は一本しかないというのに、だ。
出られないことを悟った私は、あきらめて町へと引き返す。
兎に角、先生達に会うために、町役場の付近に来たのがついさっき。
「あの場所に近づくのは止そう」
私は浩司を制してM1を構えた。
町役場へとつながる道に、何体かいる。
多いのは図書館周りと港だと思ってたが・・・ここら辺にも増えてきた。
「おい・・・」
「浩司、まずは駐在所まで走って。それから・・・一旦家に戻って体制を整えるんだ」
ポン!と浩司を押して走らせると、私は後退しながらM1の引き金を引いていく。
銃声が鳴り響き、深い霧の奥で悲鳴が上がった。
「行って!」
一発の銃声を切っ掛けに、周囲の化け物が此方に目を向ける。
霧で遠くが見えないが、呻き声はこっちに向けられていた。
私はじりじりと後退しながら、霧の奥に見えた者を撃っていく。
相手の顔は見えないが・・・きっと身に覚えのある顔を撃っているのだろう。
そう思うと、私の人差し指が少し震えた。
異変が起きて、ようやく1弾倉分を撃ち終える。
そのころには、周辺にいた影は全て倒れていた。
私は素早く弾倉を入れ替えると、走っていった彼を追いかける。
「大丈夫?」
「あ、ああ・・・大丈夫、大丈夫だ」
直ぐに彼に追いついた私は、顔を青ざめさせた彼の手を掴んで先行した。




