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目指せ定時、ループ思考からの脱出 TA

 RTAとTAの違いがよく分からん。リタイアがつくということは、以下に早く初期状態に戻すのかということでいいのだろうか? やはり、インターネットで調べよう。便利だなぁ……

 「ふぁ、眠いでござる」

 「お前昨日も同じこと言ってたぞ。ほれ、今日は夜番じゃないんだから、さっさと行くぞ」

 日差しは眩しく瞼を焼き、僅かな眠気も掻き消される。

 顔に再び黒い頭巾を被る。これで、眩しさも多少は和らぐだろう。小刀と十手を腰に挿し、準備は整った。


 「…………今日は何もないことを願う」

 「昨日みたいなことが頻繁にあるわけないだろ。まあ、夜は人が少ないが、昼は諍いが多少あるだろうがな」

 黄昏の街は治安が悪いわけではない。比較対象はあまりないが、最近古狸による被害は少ないので昼と言っても面倒ごとは小さい。


 妖狐、貂、天狗あたりは問題を起こす件数は少ない。天狗は小さい頃から厳しい教育を受けるので、自然と犯罪も少ないらしい。それに、基本犯罪を起こすのは里から逃げた逸れの天狗が殆どだ。そういうのは自然と目がつけられる。


 妖狐と貂は隠してることもあるだろうが、遊郭に務めるものは教養もしっかりある。


 逆に、鬼や猫又は酒を飲むと暴れるものもいる。ただ職人気質というか武人気質なのか平生は真面目だし、互いが落ち着けば自然と和解し飲み直す場合が殆ど。


 一番厄介なのは蛟関連の事件。他の種族と違い、就ける職業が非常に少ない。遊郭は物好きしか相手にしないだろうから売れないだろうし、力が強いわけでもない。

 ただ、施術師として大成するものもいなくはない。医者や薬屋、薬草などを探すことにも長けているから完全に働く場がない訳ではない。


 事件の中で蛟はよく被害者になる。お金がないものは医者になる為に借金をする。互いが商売敵なので、同じ種族も敵になり得る。

 詐欺にあったりする場合もあるが、一番面倒なのは医者になれなかった蛟たちだ。彼らは働いて借金を返さなければならない。しかし、仕事はごく僅か、お金を稼ぐにはどぶさらいでも何でもするしかなくなる。

 弱肉強食、才能があれば成り上がることも出来るが少しの運もなければ底辺に生活せざる終えない。


 (拙者が幾ら頑張ろうとも、拙者だけではどうともならん)

 役人でも、蛟のものは少ない。拙者が詳しいのも調べ物があったからで、他の種族と比べて里も排他的なのだ。…………もしくは殻に篭ったというべきか。


 (……殻の中で何をしてるのやら。拙者にはもう関係ないか)

 あの化け物は小さい時は誰にも敵わないと思っていた。あの毒牙から身を挺して自分を守った父。

 あの時、自分が…………


 「おい、シノ。今は仕事中だ、何もねえとは言ったが、怠けて良い訳じゃねえぞ」

 「なはは、確かにあの屋根は日向ぼっこに良さそうとは思ったでござるが、そちらばかりを見てはおらんでござるよ」

 考えても仕方ない、それに何年も前の化け物も今生きてるとは限らない。恐怖もないなら、考える必要すらない。いたらとどめを刺すだけだから。


 「ふぁ、やっぱり平和が一番でござるなぁ」

 「ふん、当たり前だろ。俺たちが動かなくても良いのが一番なんだがな」

 手を組み、そう呟く白銀。変化の少ない日常が一番尊いものだと思う拙者も頷く。


 「たぁ、たっ、助けてくれぇっ!!」

 突如悲鳴が聞こえ、拙者はちらりと白銀のいた場所を見る。白銀は既に瞬足の足で現場に向かったようだ。


 「そこの、何があった」

 「や、ややっ、役人さん! 突然よく分からんやつが店の中で暴れて、今はまだ中に客がいるんだよ!」

 「そうか、そこで休んでくれ」

 状況を把握し、丁稚を軽く宥める。


 店に急ぐと、既に白銀が大半を制圧していた。残りは、


 「武器慣らしにもならなかったよ?」

 「集団の敵を無力化する魔法…………うーん、乱戦だと難しいな」

 昨日から見た顔が店の壺に載って、退屈気に足を揺らしていた。


 「…………お主らは事件を引き寄せる運命でも持っているのか?」

 「お兄さん今頃来たの? 良かったわね、何もすることないわよ」

 こちらに気づくと、クララが皮肉を言ってくれた。

 「被害状況のレポートとかあるから、仕事はあるのでござるよ。はぁ…………」

 今日こそ何も残業せずに、ユラの元に行きたかったのに。


 「それで、この状況は何でござるか?」

 「知る訳ないでしょ、店にいると突然襲われたんだから」

 明らかに陰謀くさいにおいがする事件だ。この人数で襲ったとなると…………

 「ヤクザにでも喧嘩を売ったのでござるか?」

 「普通心配から入らない? まあ、良いけど。ヤクザってそもそもなにか分からない」


 冗談は置いといて、

 「それで、その壺に入っている彼は誰でござるか?」

 壺の中にはビクビクと未だ震える蛟の少年の姿が。


 「さあ? ルルは動けないし、この子がいたから役人が来るまで粘ってたんだけど…………壺の中に入れた方が守りやすいかなって」

 「こわい、こわい、こわい…………」

 これ見方によっては事案……まあ、いいか。


 「その子は拙者が奉行所まで連れてくから、クララたちは家に戻っていてくれ。流石にないとは思うが、ユラが心配だから」

 ユラより身長が少し高いくらいの少年を担ぎ、クララに伝える。


 「分かった、ほらルル。お土産自体は買ったし、そろそろ帰るわよ」

 「ふふ、クララちゃんからの贈り物。ふふふ……」

 異様にご機嫌なルルレアの態度に困惑したが、今考えてる余裕はない。


 「白銀、拙者が連行するからレポート変わってくれない?」

 「肉体労働は俺の分野だろ、精々数行で頭を悩ませろ」

 定時退社を目指して、レポートの進まない数行をいかに少なくするか考える。


 気絶している貂の稼業人たちを見ながら、これ以上波及しないことを願った。

 ???「ふふ、ルルレア様の楽し気なお声が。さて、ルルレア様からお土産に何か貰えるのでしょうか? 何故か、ルルレア様が私のお土産忘れてたという未来が見えましたが……そんな困った顔のルルレア様最高っ!」←侵食率 50%


 遂に妄想にまで手を伸ばした彼女の行く末は!

 盲目の彼女に目の敵を打ち破ることは出来るのか!?

 次回、違うそうじゃない。お楽しみに!


 ……実際、忘れてそうなんだよなぁ、ルルレア。

 こちらは基本適当なので、いい加減な味をお楽しみに。

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