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光の魔法使いクララ・パドヴァールの放浪記 波に流され、いざ常夜

 塩さえあれば、大抵何とかなる!

 実際どうなのか?

 「大海原が私たちをぉ〜、限りない世界の果てまで〜」

 「セントエルモの火は其処にぃ〜、私たちを導く〜」

 「「あぁ〜、海の楽園へ〜」」

 さざなみが樽を強かに打ちながらも、私たちは目的地に流れてゆく。適当な歌詞で歌いながら。




 「魚、魚、ササミ、海藻。うぅ、もう飽きたぁ……」

 「何も調味料持ってこなかったからね、今度はしっかり用意しようね。お金はたんとあるから」

 私は樽をつぅーとなぞりながら嘆いた。だって、焼くだけ、塩は作れたけど…………飽きた。それはそうだ、だって今までで舌が肥えてたんだもん。せっかくお金があっても、金は食えないよぅ。


 その言葉にルルレアは樽の底に積まれたお金を指す。私はその上に体育座り。

 揺れても転覆せず、かと言って沈むこともない程度の量だ。これで、わざわざ海上歩行に移らずに済んだ。

 体を動かしたい時もあるから、多少樽から出て歩くけど。



 「導く灯りを今一度【アクトライト】」

 ぼわぁ、と円形の灯りがルルレアの手のひらに浮かび上がる。


 「体調はどう?」

 「うーん、少し疲れた。でも、魔法を使って気絶しなかったよ!」

 空き時間はルルレアに魔法を教えている。ルルレアが教えて欲しいと言ったので、それに応じた形。

 こちらも暇だから快諾した。


 「うん、それで慣らしていけば色々使えるようになるよ」

 その言葉にルルレアははにかんで笑った。



 「そういえば、何でこの魔法を教えるの?」

 しばらくして、ルルレアが質問をした。

 「簡単よ、それが一番安全で、有用で、覚えやすいからよ。あと、私が介入しやすい」

 私の答えに納得してないのか、ことりと首を傾げた。


 「まず、灯りが何かを壊すということが少ない。二つ、明かりとして使用できる。三つ、難しい言葉じゃない」

 「この灯りが何かを壊すことってある?」

 「光度が高ければ、相手を盲目に出来るからね」

 その様子を想像したのか、ルルレアは目を一度、強く瞑った。


 「あと、初心者は詠唱を覚えた方が良いわ。その通りの効果が確実に現れるし、知識がないと事故も起こるから」

 ぶんぶんと顔を振り、理解したことを示すルルレア。


 「まあ、いざとなったら私が魔法を何とかするから。魔法は私がいる時だけにしてね」

 「そんな、独占欲が強いっ!」

 ルルレアはくねくねと体を動かして、頬に手を当てている。

 ぷちん、と何かが千切れる音がした。


 「…………、捻れる螺旋は貴女に収束する【メイルストローム】」

 波がルルレアの周りに集まってゆき、小さな渦を形成する。それは、ルルレアを飲み込み洗浄するように彼女を回してゆく。


 「愛が…………激しいっ」

 「弾けろ、小さな電流【クラッキング】」

 静電気がふざけた彼女を襲う。勿論、これはお仕置き魔法。


 「ここ、こっ今度は過激ね!」

 途中で止めると、体を小刻みに振動させる彼女の姿があった。減らず口をまだ叩くか。



 「あぁ、髪型がボンバーに」

 髪を手持ちの櫛ですきながら、ルルレアの口は弧を描いている。…………もうダメかもしれない。


 「ん? クララ、何かが海底から何かが来るよ。私がやる? でも、これは…………かなり大きい?」

 ファインティングポーズで、シュッと空を殴りながら訊いてきた。


 「いや、私がやるよ。最近、あまり魔法を使ってないし」

 キテージの頃ならいつものようにしてたから気にならなかったけど、鈍ってたらショックなので私が請け負う。


 「…………もしかして、欲求不満?」

 ルルレアの調子に少しイラッときながら、詠唱を始める。


 「深淵の探究者は深く深く虚無の理に沈む。暗闇の淵で、巨光の彼方で定める条約は永劫の乖離。私は汝を理解せず、汝は私を理解しない」

 私の使える魔法で唯一、殺傷能力が高い魔法。


 グウオオオオッ!!!

 体の奥まで震わせる雄叫び、前方には巨大なヘビのような何か。

 距離はかなりあるが、圧力を強く感じる。


 「偏在せよ、変幻せよ。其方たちは此処に在る」

 場にあるものを偏らせて、片方を圧縮、片方を凄い勢いで円周運動を加速させる。空気が変わり、静寂たる時がこの場を支配する。


 「【アヴェスター】」

 白と黒、二つの球がこちらに向かって来る怪物に飲まれてゆく、

 そして…………


 ドッボォォォン

 その巨体は体をくねらせ、大きく弾けた。


 勿論、近くにいた私たちに血飛沫とか肉塊が落ちてくる…………なんて事はない。言葉通りの木っ端微塵。かけらも残さない爆発だ。残っていても、腹の足しにもなりはしない。


 「…………なにこれ」

 ルルレアは唖然とした表情でこの光景を見ている。


 「私作、【アヴェスター】。

 片方は空気中の大半を粒子を固めて、残った粒子を空いた空間で回す。黒い方は極限までエネルギーを抜いた絶対零度、白い方は加速で得た熱量を生み出して、その二つをぶつける魔法かな」

 事故で生まれてしまった魔法だ、でも応用すれば土木ぐらいは出来るだろう。元々は、白い方だけ作ろうと思っていたのだが、黒い方を作らないと加速する粒子の動きを妨げるものが多いので作った。


 ジジイはよく分からない魔法で掻き消したが、勿論人にぶつけて良い魔法ではない。

 それでも、ジジイにぶつけたのは逃げたい一心とキテージの魔法陣を刻まれた服にある魔法抵抗力の強さだ。


 キテージの服は『力』を流すと、剣でも通すことが出来ない。あの広場にも大きく張られているので、遠慮なく打ち出した。

 …………ジジイの、あの魔法は何なんだろう? 深まる疑問は置いて置く。


 凍ってから爆発してるので、日の光を浴びてきらきらと塵の残骸が輝く。

 「よく分からないから魔法で撃ったけど、ここらの主人だったら悪いことしたかな」

 海の生物は多いので、いちいち記憶してない。でも、私が目を通した図鑑にあんなのはいなかった。


 「クララちゃんは大胆ね」

 その思考さえも、ルルレアの言葉に打ち切られ、何とも言えない表情で私はルルレアを見ていた。













 *****


 数日後、


 「不法入国者、何か異議はあるか?」

 「私は無罪です!」


 よく考えれば、樽で入国できる訳が無かったと思い知らされた。

 よく考えても、樽に乗って入国できたらそれは潜入ですね


 少しの補足、アヴェスターには欠陥しかないです。

 まずは広い所でしか使えない。

 撃つことができても、二発ぐらい。

 ほぼ必殺、手加減できない  等々

 結構魔法の仕組みは想像で書いてるから、ガバガバだけど許して

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