第19話:真夏の熟睡プロトコルと、オーバーヒート快眠ベッド
連日の猛暑による寝不足で、学園の貴族たちは疲労困弊していた。
YARENDEZ社が売り出した『極冷・魔法快眠ベッド』は、冷却回路の暴走により真夜中にベッド全体が急速加熱し、乗っている者をサウナ状態にするポンコツ商品だったためである。
一方、地下要塞のリビング。
「ふぁ……なんだか、すごく眠くなってきちゃった……」
「どうぞお休みください、ルミナリア様。こちらの特製『低反発・冷感フォームベッド』をお使いください」
ホナがデプロイしたベッドは、体温を吸収して快適な20度に維持する完全自作仕様。
ソファーに横たわったルミナリアは、吸い込まれるようにスヤスヤと心地よい寝息を立て始めた。
そこへ、寝不足で錯乱した貴族たちが「安眠の冷気を渡せ!」と押し寄せてくる。
「しーっ。……ルミナリア様の睡眠プロトコルを阻害する者は、永久退場です」
ホナは声一つ立てず、自作の『無音・指向性催眠ミスト』を廊下へ一噴射。
「ふへ……急速な……強烈な眠気が……バタッ」
貴族たちは要塞の扉の前で全員倒れ込み、地上へ送り返されることもなく、静かに廊下で爆睡し始めた。
「完璧な静寂の維持、完了です」
ホナはルミナリアの寝顔を優しく見守りながら、静かな夜を過ごした。
(第20話に続く)




