第16話:地下要塞の極冷アクアリウムと、爆走ポンコツ水槽
「ホナちゃん、見て! お魚たちがすっごく気持ち良さそうに泳いでる!」
地下要塞のリビングに新設されたのは、ホナが自作した壁一面の『極冷・立体アクアリウム』。
地下深層の清涼な水を引き込み、水温と水質を完璧に管理した水槽の中を、色鮮やかな光る熱帯魚たちが優雅に泳いでいた。
「はい、ルミナリア様。時間管理の合間の視覚的ヒーリング効果を狙い、水質アルゴリズムを最適化して構築いたしました」
「本当にお店のカフェみたい……! ずっと見ていられるよ」
二人で冷えた『ソルティ・カザフ(塩チョコ)』をかじりながら鑑賞していると、またしても地上階から無礼な闖入者が現れた。
『出たなFランク! 我がYARENDEZ製『自動発光・自律鑑賞水槽』が熱暴走でお湯になり、魚が茹で上がってしまったのはお前の仕業か!?』
やってきたのは、YARENDEZブランドの欠陥水槽を購入し、水槽内の魔法ヒーターが暴走して熱湯と化した自爆貴族たちだった。彼らは冷気が漂う地下の噂を聞きつけ、ホナのアクアリウムを奪い取ろうと乗り込んできたのだ。
「ルミナリア様、水槽の水換え(害虫駆除)を行ってまいります」
ホナは水槽清掃用の小型水圧ノズルを片手に隔壁を開けた。
貴族たちが煮えたぎる欠陥水槽を担いで怒号を上げる。
「この冷気を我が水槽に流し込め! さもなくば——」
「水質汚染ノイズを検知。水圧デプロイを行います」
ホナがノズルのトリガーを引くと、超高圧の冷水ジェットが噴射。
貴族たちの欠陥水槽の排水バルブを一瞬で打ち抜き、溜まっていたお湯が噴射圧力となって貴族たち自身を押し流した。
「ひゃあぁぁぁっ!? 熱湯シャワーで吹き飛ぶぅぅっ!」
水圧ピンボールとなった貴族たちは、地上へと勢いよく押し出されていった。
「排水完了です」
要塞に戻ったホナとルミナリアは、何事もなかったかのように美しいアクアリウムを眺めながら、平和な夏休みを継続するのだった。
(第17話に続く)




