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44.アイドル、最高に幸せなフィナーレ

 魔王の腕のなかで、奏は確信していた。もう二度と、あの大理石の冷たさに凍えることはない。愛する人がいる場所、それが自分にとっての最高のステージなのだと。

 朝の支度を終えた二人が、手を取り合って寝室を出ると、城の回廊には全魔王軍の幹部と住民たちが集まっていた。

 そこには、あの時の魔王軍の強者たちも、畑仕事に励んでいたオークたちも、皆が総出で並んでいる。


「奏様! 魔王様! おめでとうございます!!」


 マルバスの音頭に合わせて、城中から割れんばかりの祝福の拍手と歓声が湧き起こる。中には、あまりの尊さに卒倒して鼻血を出している者や、嬉しさのあまりスライムの姿のまま飛び跳ねている者もいたが、そのどれもが純粋な祝福に満ちていた。


「皆、ありがとう。これからは俺と、そして我が愛しき王妃である奏と共に、この魔界をより良い未来へ導いていくぞ!」


 魔王が奏の手を掲げると、再び地響きのような歓声が上がった。

 奏は、集まった皆の顔を見渡し、あの完璧なアイドルスマイルを浮かべた。


「皆さん、これからもよろしくお願いします。僕の歌と、魔王様の愛で、この魔界を最高のステージにしましょう!」


 魔王は奏を優しくエスコートし、城の広場へと歩み出す。

 その足取りは、これから始まる一生分の幸せに満ちた新生活の第一歩。二人の前には、雲一つないどこまでも高い青空が広がっていた。

 理不尽な運命を乗り越え、愛する人と共に歩む未来。それは、どんなヒットチャートのトップよりも眩く、どんな華やかな舞台よりも輝かしい、世界で一番甘く、そして一生終わることのない……最高に幸せな大団円(フィナーレ)だった。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました!

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