4.目標を持って
「今の君は、核のない魂の状態で、
拡散しないように僕の魔法で無理やり繋ぎ止めているだけなんだ。
でも、世界を創っていけば自然と神素の波長が統一されて、
君自身の“核”になっていく。頑張って創造してくれ。
……何か目標があると、やりがいも出るんじゃないかな?」
「じゃあ、日本人をこっちの世界に召喚して、
『俺TUEEE』ができる世界を作るわ」
「即答なんだね……」
「まあね。なろう小説とかよく読むし」
アースは呆れたようにため息をつきつつ、ノートの使い方を続けて教えてくれた。
「“○○は地球と同じ”と書けば、細かい設定を省略できる」
「“○○年が経過した”と書けば、一瞬で時間を進められる」
「消したい設定は、指でなぞりながら“消去”と念じれば文字が消える」
「星の状況を知りたい時は、ページの先頭に“クエスチョンページ”と書けば、
ノートが勝手に回答を浮かび上がらせてくれる」
「最後に一つ。ノートに書いた内容は、書いただけでは実現しないんだ」
「えっ? でも、さっきの大陸は見えてるよね」
「それはあくまで“仮定”の世界。一旦、ノートを閉じてみて」
言われた通りに閉じると、眼下の星は元の何もない姿に戻った。
再び開くと、また海と大陸が現れる。
「書いた内容を現実に反映させるには、“確定”のプロセスが必要なんだ」
「じゃあ、練習だ。大陸に×印をつけて、
“確定したページをこの地に保存”と書いてみて。
書いたらそのページに手を当てて、“確定”と唱えるんだ」
言われた通りに唱えると、ページからまばゆい光が放たれ、
大陸の×印をつけた場所へと吸い込まれていった。
確定したページは石のような灰色に変わり、もう追記はできない。
「本を閉じてみて」
今度はノートを閉じても、海と大陸は消えなかった。
ただし、一度確定したものを取り消すには、
先ほど印をつけた場所へ“ルール”を回収しに行く必要があるらしい。
僕はアースと共に、初めて自分の星へと降り立った。
まだ木も草も生えていない、静寂に包まれた不毛の地。
僕たちは滑るように移動し、印をつけた地点へとたどり着く。
「ここで、“ルール回収”と念じてみて」
念じた瞬間、地面から光の筋が立ち上がり、
僕の手元のノートへと吸い込まれていった。
ノートは閉じていたため、さっきまで見えていた大陸と海が、
幻だったかのようにスゥ……と消えていく。
「さあ、戻ろうか」
アースがパチンと指を鳴らす。
一瞬で、元の神界へ引き戻された。
「さて、チュートリアルはこれでおしまい。
あとは自分好みの星に仕上げてくれ。
わからないことはノートに聞けばいいし、何かあったら連絡して。
僕に会いたいときは、そう願いながら指を鳴らしてくれればいいから」
「……うん。なんとなく、わかったよ」
僕は真っ白なノートを見つめる。
さて――どんな世界から創り始めようか。




