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3.星を与えられる

要するに――僕は地球神アースのせいで死んだらしい。

そして、アースが太陽神に怒られないために、僕が代わりの神になる、と。


「ちょっと、『アースのせいで』っていうのは聞き捨てならないな……。

ま、まあ、なんだ。君に“試練”を与えただけだよ」


「いきなり隕石に当たって即死する試練なんて、回避のしようがないだろ」


「……だから最初に謝ったじゃないか。はぁー、まあいいや」


パチン、とアースが指を鳴らす。

すると、目の前にあった地球が、見たこともない星に切り替わった。


「この星は、僕が管理している星の一つ。これを君に託すよ」


アースは続けて、白紙のノートのようなものを差し出してきた。


「そして、これがこの星の“ルールブック”だ」


「……ただのノートにしか見えないけど」


「やってみる方が早い。まず、『この星は最初、海に覆われている』と書いてみて」


言われた通りに書き込む。


「書いたら本に手を当てて、『発動』と念じるんだ」


「……発動!」


瞬間、目の前の天体が鮮やかな青色に染まった。


「次、『大気は地球と同じ』」


書いて、発動。

星に白い雲がふわりと生まれる。


「今度は丸い円を描いて『この星』と書き、その中に適当な大陸の形を描いてみて」


外側の円に「この星」、内側の図形に「大陸」と矢印をつける。

すると、青一色だった海に巨大な陸地が浮かび上がった。


「こうやって世界を創り上げ、

この星の知的な住民の中に“神の存在意義”を考える者が一定数増えれば、

君は正式な神として認められる」


「……ごめん。そもそも“神の存在意義”って何?」


アースは、どこか遠くを見るような目で語り始めた。


「神の存在意義とは、世界を作ることそのものさ」


アースの説明は続く。


「地球の宗教はいろいろあるけど、共通しているのは

『神が世界を作った』という点だ。

アダムとイブは神が世界を作って最後に生まれたとされているし、

日本書紀も国生みから始まっている」


アースは指を折りながら話す。


「日本神話の作者は考えたんだ。

“世界を作るには無数の要因が必要で、それぞれに担当がいるはずだ”ってね。

だから『八百万やおよろずの神』という概念が生まれた」


「逆にキリスト教的な考え方では、

物事の相関図における“矢印”や“関係性”そのものを神としたんだ。

例えば、A君→Bさんに“好き”って矢印を書くよね。

その矢印や“好き”という概念、それ自体が神だという考え方」


「でも、矢印や関係性が神だと、全知全能すぎて物語にならない。

だから従者であるキリストを主役にして、聖書というストーリーを編んだわけだ」


アースは肩をすくめる。


「まあ、実際のところ、世界はさっき見せた“神素”の集合体である僕たちが作っている。

だから、全知全能でも何でもない、

人間くさい神がひしめき合っている多神教の方が現実に近いんだよね」


壮大な宇宙の真理を、アースはまるで天気予報でも語るように、

あっけらかんと話してみせた。


僕はただ、ノートと星を交互に見つめるしかなかった。

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