14.スタート地点
とにかく、一回でもテストプレイをクリアできれば、
現地で「確定ページ」を修正できるんだ。
僕は強硬手段に出ることにした。
森が邪魔で村が見えない? だったら、吹き飛ばしてしまえばいい
僕はスタート地点と村を遮る巨大な森に対して
隕石を投下して地形そのものを書き換えた。
――轟音と共に森が消え、視界が開ける。
これでスタート地点から「始まりの村」が丸見えだ。
迷いようがない。
「よし、今度こそ完璧だ!」
---
卜口 工、32歳。バツイチ、元会社員。
異世界に召喚された僕は、チートノートと火球の杖を手に立ち尽くしていた。
――中略――
目の前には、巨大なクレーター。その向こうに、煙を上げる村が見える。
「……あそこに行けばいいんだろうな」
僕は村を目指して歩き出した。だがその途中、一人の男に出くわした。
農作業着のような服を着ているが、その目は血走っている。
男「○×△□##○!」
僕「えっ、何? すみません、何て言ってるんですか?」
男「%!$▽-#○ッ!!」
怒鳴っているのはわかるが、言葉が全く通じない。
「……あぁ、こういう時こそノートだ」
僕は背負ったリュックからノートを取り出そうと、肩紐を外した。
――その瞬間だった。
ザシュッ!
男が腰の鎌を抜き放ち、僕の胸を裂いた。
「あ……がっ……」
男「&*÷#¥+○!」
薄れゆく意識の中で、僕は男の吐き捨てるような、
だがどこか恐怖に満ちた叫びを聞いた。
デッドエンド。
「……。なんて言ってたんだよ、あいつ!」
神界に戻った僕は、怒り心頭でノートに質問を書き殴った。
Q:今回の死亡原因は? 男は何と言っていた?
ノートが無機質な回答を返す。
A:『隕石が降って村が大混乱の最中、余所者が何しに来た!』
A:『こんな騒動に紛れて盗みを働くつもりだろう。あるいは、この災厄の元凶か!』
A:『危なかった。やられる前に殺して正解だった』
僕は膝から崩れ落ちた。
「……。いや、ちょっと待て。僕、そんなに怪しかった?」
善意の隕石投下が、現地民には「宣戦布告」にしか見えなかったらしい。
僕は、自分の配慮がすべて裏目に出る才能に絶望した。




