11.テストプレイ4回目(続き)
とりあえず、僕は拾い上げたノートを読み始めた。
「……なるほど。間違いなくチートだ」
仕組みは理解した。まずは試しに「パターン1 (魔法創造)」を書き込んでみる。
タイトル:紅蓮の炎
効果説明:僕に近づく魔物は紅蓮の炎に焼かれて死ぬ。常時発動 (パッシブ) 魔法。
早速、ページに手を当てて念じる。
「確定!」
すると、ノートに必要コストが表示された。
【スキル:紅蓮の炎】
消費コスト:毎秒1ヒロード
「ヒロード……? 聞いたことのない単位だな。
まあいい、なんとかなるだろう。発動――『紅蓮の炎』!」
――シーン。
何も起きない。いや、魔物が近づかないと発動しない設定なのだから当然か。
僕は周囲を警戒しながら、適当に森をぶらつくことにした。
そして100秒後。
僕は突然、糸が切れた人形のように意識を失った。
バカなの? 死ぬの? ……うん、死んだんだね。
気がつけば、三度の神界。
なんでパッシブスキルにしちゃったんだろう。
確かに安全だけど、消費コストをよく読めよ、自分。
いや、違うな。そもそも『ヒロード』なんていう、
疲労度から取ったふざけた架空の単位を
デフォルメして設定した僕(神)が悪いのか。
「普通に消費MPにしておけばよかった!
秒間2%消費とかにしておけばよかったんだ!
何で中二病を爆発させたんだよ、32歳にもなって……!」
ちなみに解説しておくと、ヒロードとは僕が勝手に名付けた疲れの単位だ。
100ヒロードで、その場にぶっ倒れるレベル。
200ヒロードなら、丸一日起き上がれない。
300ヒロードまでいけば、二日は意識が戻らない。
つまり「回復するのに15分かかる疲れ」を『1ヒロード』と定義したわけだが、
これを1秒に1ずつ消費するということは……
「100秒で、1500分(25時間)分の疲労を溜め込んだ計算になる。そりゃ死ぬわ!」
しかも、チートノートのどこにも『ヒロード』の単位説明を書いていなかった。
自作のゲームで、説明書のない即死トラップを仕掛けたようなものだ。
「はっはっは……はぁ。……修正だ、修正」
ほかに忘れていることはないか?
……うん、特に思い当たらない。今度こそ大丈夫だろう。
僕は(何度目かわからない)期待を胸に、再びノートを書き換えた。




