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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第40話 勇者は鍛錬に勤しむ

 レナが不在の村は穏やかだった。

 三人で過ごすには広大な土地で、早急にやるべきこともない。

 そこで各々が趣味や作業に集中することになった。


 エマとマリーは、それぞれ魔術の練習をしている。

 様々な系統を試しており、今は自分に合った系統を模索しているそうだ。

 加えてレナからいくつかの術を習ったらしく、技量はさらに向上していた。


 魔術適性を持たない僕は、もはや何も教えられない状態にある。

 実戦経験を除けば、一般的な魔術師を完全に凌駕するだろう。

 僕とレナが鍛練の相手になれば、経験不足も克服される。

 どこでも暮らしていける魔術師になるはずだ。


 当分は出ていくつもりもないらしいので、この村の運営を支えてもらおうと思う。

 たった二人とは言え、彼女達は優れた魔術師だ。

 様々な面で活躍することができる。

 不死身と怪力しか取り柄が無い僕とは大違いだった。

 彼女達を真似しようとしても、足元にも及ばない。


 もっとも、僕には僕の得意分野がある。

 それを活かす他ないだろう。


 エマとマリーが魔術の練習を実施する一方、僕も剣術の鍛練を行っていた。

 基本の型から確認し、素振りでひたすら慣らす。

 続けて足運びや力の入れ具合を反復して最適化していく。


 僕の戦いの腕は、この三年で鈍っている。

 致命的なほどではないが、魔王を討伐した当時に比べると、明らかに劣っていた。

 戦闘における勘も衰えている。

 それらをレナとの決闘で実感した。


 今後、死園を成長させていくにあたって、様々な激戦が予想される。

 そのような時に敗北するわけにはいかない。

 ここで鍛え直した方がいいだろう。


 ただし、三年前の模倣をするつもりはない。

 この肉体は当時から大きく変貌している。

 今の状態に合った戦闘法を確立するつもりである。


 せっかく再生能力と怪力があるのだ。

 小手先の技を捻じ伏せる一撃必殺の剣術が適切なのではないだろうか。

 レナが帰還したら、訓練に付き合ってもらうべきであろう。

 彼女ほどの適役もそうはいまい。


(元勇者の名に恥じない強さを取り戻さないと……)


 僕は小屋のそばで素振りをする。

 とにかく集中し、剣筋を意識しながら木の棒を上下させた。

 誇りなど持ち得ない身だが、現実問題として勇者に足る強さは必須だ。


 人間としての限界を超えた。

 あとは目的のために邁進するのみである。

 それから日没まで静かな時間を過ごすことになった。

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