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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第39話 勇者は英雄を見送る

 翌日の朝、村の出口に集合した。

 軽装のレナは、僕達の前で得意げに話している。

 今から彼女は街に出発し、村に必要な物資を補充してくれる。


 ちなみに行き先は、僕達が再開した最寄りの街だ。

 絶対に問題が起きそうなものだが、本人はそこでいいと言っていた。

 ここは任せるしかないだろう。


「三日か四日くらいで帰ってくるよ。便利な物をたくさん買ってくるから、楽しみにしていてくれ」


「うん、分かった!」


 マリーが手を上げて返事をする。

 彼女はすっかりレナに懐いていた。

 僕はレナが苦手だが、考えてみれば好かれる要素は多い。

 容姿端麗で巧みな話術を持ち、どこか人を惹きつけるような雰囲気を帯びている。

 それこそが英雄たる所以だろうか。

 僕も英雄に該当するのだが、我ながら彼女と同じ人種には思えなかった。


 マリーの頭を撫でたレナは次に僕を見て、小声で囁いてくる。


「私が不在の間に村が滅んだ、なんてことはやめてくれよ? 冗談にもなりやしないからね」


「もちろんだ」


 レナのおかげで結界は強化された。

 ある程度の襲撃なら防げるし、万が一の時は僕が戦う。

 レナの言うような事態はまず起きないだろう。

 最後にエマと握手を交わした後、レナは村の外へ歩き始めた。


「それじゃあ、頼んだよ」


 彼女の背中がだんだん小さくなっていく。

 やがて森に紛れて見えなくなった。

 レナを見送ったところで、エマがこちらを向いた。

 彼女は指を動かして魔力の文字を書く。


『彼女、帰ってくると思う?』


「きっと無事に戻ってくるだろう。少なくとも逃げ出すことはない」


 昨晩の奇妙なやり取りを思い出す。

 あれは演技ではなく、レナの本心であった。

 彼女は真剣にこの村と関わろうとしている。

 その動機がどうあれ、現状は協力できそうだった。


『ここの暮らしも良くなりそう』


「僕と違ってレナは優秀だ。上手くやってくれるはずさ」


 自嘲を込めて述べると、エマが緩く首を振った。


『あなたも役に立っている』


「一応、努力はしているからね」


 そのようなやり取りをしていると、マリーが僕の袖を引いてきた。

 彼女は上目遣いで気遣いの言葉を投げてくる。


「落ち込まないで。一緒に頑張ろう?」


「はは、そうだね。頑張っていこう」


 それを聞いた僕は、エマと顔を見合わせて笑った。

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