第4話:ゴミとゴミを掛け合わせたら
「……だろうな!!」
俺は思わず天を仰いだ。危険な敵と戦う前に強さを知りたいのに、「お前より弱いぜ」とわざわざ教えてくれるスキルに何の意味があるんだ。死体蹴り専用スキルかよ。
だが、俺はもう、ただスキルに一喜一憂するだけの男じゃない。このスキルは、単体ではゴミだ。だが、「素材」として見ればどうだ? 俺はスキルリストの中から、組み合わせる相手を探した。
あった。三ヶ月間、一度も使ったことがなく、存在すら忘れかけていた正真正銘のゴミスキルが。
【猫の言葉をニャーを一言だけ翻訳できる】
「よし、決めた! 合成、実行!」
俺が強く念じると、二つのスキルがリストから光の粒子となって消え、一つに混ざり合う。そして、全く新しいスキルが、俺のリストの最上段に現れた。
【下位限定・思考受信】
効果:自分より戦闘力が低い相手の、表層的な思考や状態を読み取ることができる。
戦闘力表示と猫語翻訳が合わさって…思考受信? しかも「格下限定」という呪いのような制約は引き継いだまま。だが、意味は全く違う。これは…とんでもない索敵スキルじゃないか?
俺は試しに、背後のゴーレムに向けて【マインドエコー】を発動してみた。どうせダメ元だ。あんなデカブツが俺より格下なわけがない。
―――…。
何も起きない。そう思った瞬間、ゴーレムの頭上に、半透明の数字が浮かび上がった。
【戦闘力:0】
「……はぁっ!?」
ゼロ!? あの威圧感で、戦闘力がゼロだと!? 混乱する俺の脳内に、さらに直接、思考ともつかない無機質な情報が流れ込んでくる。
『……音響トリガー、待機中……』
『……魔力炉心、エネルギー枯渇……』
『……再起動、不可……』
そういうことか! このゴーレムは、永い年月の果てに魔力が完全に尽きていたんだ! 見かけ倒しの、ただのデカい石像! だから「戦闘力0」。俺よりも「格下」だったんだ!
普通の鑑定スキルなら、潜在的な脅威度を測って「測定不能」と表示されただろう。だが、俺のスキルは「格下限定」というポンコツな制約のおかげで、「現在の戦闘力」という真実だけを正確に暴き出したんだ!
「は、はは…ははははは! 最高だ! 最高じゃないか、俺のスキル!」
恐怖は完全に消え去った。俺は意気揚々と洞窟を後にした。




