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天国へ贈るコイン  作者: 西松清一郎
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1-7

 知世の目が紙から警部の顔へと移った。それから成沢はまた画面を向き、今度はあるSNSサイトを開いた。街かどを映した写真と意味不明な複数の単語、これらがまず知世の目に飛び込んだ。この時点から、知世も状況を少しずつ飲み込めるようになっていた。白い土塀で囲まれた二階建ての和風建築は、美術に携わる家主のこだわりを無音で気品あるさざ波に変えて、見る者に送り伝えている。


「市内の住宅ですね。もしかして鎧塚さんの自宅」

「その通り」成沢は言いながら次に、マウスで単語の列を示した。


 W2  AO  PX


 知世の質問が出る前に、成沢が答える。「テレビか何かで見たことあるだろう。よくある簡単な『マーキング』だ。今は、郵便受けや電気メーターでなく、こうしてネット上でするケースも増えていてな。『W2』は女性二人暮らし、『A』は午前、『O』は丸、つまり午前は侵入しやすい。『PX』はもうわかるな、午後は在宅確率が高い、ということだ」


 知世の喉にこの日再び、絞り上げられるような不快感が走った。そして、思いついたことを言った。


「この投稿者を割り出せば」

「いや」成沢がそれを遮る。「投稿者を引っ張って来たとしても、トカゲのしっぽだろう。幹部の顔も名前も知らない奴が出てくるのがオチだ。さて」

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