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ベルベットの応接ソファを勧められ、二人は並んで腰を沈めた。中尾が一旦退出し、二人分の茶を盆に乗せて戻ってきた。そして、二人がそれに手をつける間もなく、介護士が切り出した。
「お騒がせして、大変申し訳ありませんでした」
目の前の女性が何について謝罪しているのか、知世にはわからなかった。成沢もまた、この面会の目的を知らされていなかったらしく、面食らった様子でいた。
一瞬の間の後、警部が「一体何のことでしょうか」と訊いた。女性は胸のつかえを取るようなしぐさをしてから言い始めた。
「刑事さんがたは、もうすでに『黄金色の五百円玉』についてご存知でしょう。あれの制作を依頼したのは私なのです」
中尾はそこで言葉を切ると、エプロンのポケットから何枚かのコインを取り出した。そしてそれらを一枚ずつ、ガラステーブルの上に丁寧に置いていった。成沢は一枚を手に取り、裏表を丹念に眺めた。知世の手も自然に並べられたコインの一枚に伸びた。
もはや鑑識の報告書を確認するまでもなかった。『純金色の五百円硬貨』の捜査を開始して以来、知世も署で現物を何度も確認している。それは紛れもなく、当初駅前で発見され交番に届けられた、あの『五百円硬貨』と同型のものだった。
二人がコインを卓上に戻すと、再び中尾が話し出した。




