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「幸運でしたね。『純金色の五百円』の作り手を見つけられるなんて」
知世が歯切れよく言うと、警部は「そうだな」と、にべもなく返した。すでに警部は名探偵のごとく、全ての事柄の繋がりを見抜いているのだろうか。成沢のいつもの敏速な足どりを見ると、そのようにも思えたし、またそうでない気もした。
警部は三階には戻らず、展示室の先にある売店に立ち寄った。そこではポストカードや、作品の小振りなレプリカが、多くの美術館の例に漏れず置いてある。ここでも成沢は、あの「紺色の裸婦像」を興味深い様子で眺めた。10センチほどのサイズで、値段は1280円。
知世が「そんなに気になるんですか」と言う前に、成沢はそれをレジに持っていった。知世は、その像が警部のデスクに飾られるところを思い描き、ついおかしさがこぼれそうになる口を手で覆った。




