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長い廊下の突き当たりには、巨大な絵画が掛けられていた。
ピカソの「ゲルニカ」を想起させる、絵のタイトルは「終焉図」。
暗いタッチの油絵で、轟々《ごうごう》と赤い炎うず巻く地獄と化した地上に向けて、空から落ちる巨大隕石。
街を焼かれた人々は、散り散りなって逃げまどい——地を這う亡者と化す者と、天上の国に召される者とに二極化されているようだ。
(なんだよ、どっちも死んでるじゃねぇか)
宗教観はどうであれ、隕石落としの張本人が描かせているからタチがわるいな。
充の話じゃこの教団は、隕石事故の被災者支援に力を入れているそうだった。
100%の善意に見せて、
その実、100%の悪意。
「……なあ、飛鳥、どう思う? マンダラ野郎をブッ倒したら、ここの信者は悲しむのかな? 生きる希望を失くしちまうか?」
「一時的にはそうなるだろう。だがシープマン、気にするな。彼らはじきに別の何かを見つけてすがりつくはずだ」
新たな何かが破壊されれば、また新しい何かの下へ。
彼らの心が求める限り、それは延々と繰り返される。
「なんだか救えねぇ話だな」
「救われなくても幸せなんだ」
地下へ続く階段を降りると、通路は急に薄暗くなった。
その闇の中を《は》這うようにして。
どこからともなく真言を誦む、低くて長い読経の声が周囲の壁に反響している。
おれたちが奥へ行こうとすると、無人の廊下の向こうから、音もなく「影」が近づいてきた。
……やれやれ、やっとお出ましか。
(そろそろ来る頃だと思ったぜ……)




