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——学校を辞めて画家になる。
昔、そう宣言したおれを、充は必死に止めにかかった。
(考えなおせ、無謀すぎる。無職になっても知らないぞ?)
結果、2人は大ゲンカ。
その後、何年も口をきかない「絶交」のような日々が続いた。
だが今日この日、青空の下。のんびりとキャッチボールしながら。
充はあの時とは違う、じつにおだやかな表情で。
おれに驚くべきことを言った。
「ヒーロー、やめてもいいんだぞ」
思わずボールを受け損なって、おれが取りに走ろうとしても。
「いいんだよ。無理しなくても」
どういうつもりか知らないが、充は土管に腰掛けて、おれが隣にやって来るまでいつまでも待っているようだった。
いい歳こいた大人がふたり。
並んで土管の上に座って、昼前の高い空を見上げて、
なんにもしないで時間を潰す。
「絵、返してくれないか……?」
——その絵は俺の宝物なんだ。
唐突に言われてなんのことだか一瞬、わからなかったけど。
おれは今朝方うちに届いた懐かしい絵を広げて見せた。
……白いヒーローと黒いヒーロー。
「やっぱり、おまえは絵がうまい」
充のまじめな感想に、心臓がドキリと音を立てた。




