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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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88/155

5-18


充は返事をしながら歩き、

草むらの中になにかを見つけ、拾って

「ひゅっ」と投げてよこした。


年季の入った野球のボール。

ふにゃっとゆがむ軟式のやつ。


おれはパシッとキャッチして、相手の手元に投げ返した。


パシッと受けて、ひゅっと返す。

交互に続けりゃキャッチボールだ。


「思い出すなぁ……あの頃を」


「昔、ふたりで野球したよな」


「ああ、色々遊んだもんだ。『ヒーローごっこ』もよくやった」



窮屈だった、ガキの頃。

現実世界に嫌気がさして、どうにも逃げ出したくなった時。


おれたちは大人《オトナ》の目を盗んで、この秘密基地に潜り込み、思い切り子どもらしい気分で、ごっこ遊びに夢中になった。



奈良部「羊《ヨー》」一と、大「八木《ヤギ》」充。


——羊男《シープマン》と、山羊男《ゴートマン》。


英語にするのがカッコよくって、安直にそんな名前をつけた。


宇宙のパワーを身につけた、

白いヒーローと黒いヒーロー。


いま考えればつまらない、ただの妄想の話だけど。

2人はどんな敵にも負けない、絶対無敵のペアだった。



……おれが新しい「夢」を見つけて、

ペアの解消を切り出すまでは。



(おれ、もう『ヒーロー』はやらねぇ……)



——本気《ホンキ》で「画家」になりたいんだよ。




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