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(そろそろ『あいつ』も来るんじゃねぇか?)
廃工場の壁に区切られた、長方形の空に向かって。
おれはひとりで呟いた。
——こちら「シープマン」、調子はどうだ?
——こちら「ゴートマン」、いま答える。
その時、申し合わせたように、
涼しい風が「サアッ」と吹いた。
首を捻って振り向くと、大八木充が立っていた。
(なんで来た?)
(なぜ呼んだ?)
(おまえ、仕事はどうしたんだよ?)
色んな言葉は省略されて、再会はひどくあっさりだった。
「よぅ。最近、調子はどうだ?」
「ひどいもんさ。さっぱりだ」
2人はぎこちなく笑った。
「羊一、前に言ったことだが……」
「いいんだよ。謝んなくて……『ここ』はそういう場所だっただろ?」
おれたちが決めた「ルールその1」。
「外の世界」のやっかいごとは、ここにはいっさい持ち込まない。
充も覚えていたようだった。
「ルールその2。ここでのことは?」
「……ほかのだれにもしゃべらない」




