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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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5-16



ひさびさに、自転車に乗って。

さびれた下町の方に向かう。


ガキの頃はやけに遠く感じた片道一時間の道のりも、

案外すんなりと漕いで行けた。



目的の建物はまだあった。


元はなにかの町工場《まちこうば》。

ただし10年前からずっと、使われたような形跡はない。


穴あきフェンスをよじ登り、

赤錆びたトタン屋根の通路をわが物顔で通り抜けると、


そこだけぽっかり空の開《ひら》けた、

小さな空き地にたどり着く。



枯れ草に囲まれたグラウンド。

埃《ほこり》っぽさと日なたのにおい。


隅には古いコンテナハウスと、土管がひとつ転がっている。


(ほんとに久しぶりに来たけど、ここはまったく変わってねぇな……)


時が止まったように静かで、なんだかちょっと物寂しくて。

初めてここを見つけた時の、「ゾクゾク感」を思い出す。



(ま、不法侵入《ふほーしんにゅー》だけどな!)



土管の上に腰を下ろして、ポストに投げ込まれていたという、

「手紙」をもう一度開いてみた。


四つ折りにされた白い紙には、文字らしきものは書かれておらず。


代わりにふたつの「絵」があった。



——白いヒーローと黒いヒーロー。



……でもそれだけで、充分《じゅーぶん》だった。



秘密の合図は大人のおれを、再び「ここ」に呼び戻したんだ。






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