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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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83/155

5-13


おれの気持ちが落ち着くと、

ベルはエプロンのポケットから、なにやら紙を取り出してきた。



「羊一さま、見てくださいな。ベルも描いてみたんですの」


デッサンの捨て紙の裏側に、色えんぴつでぐりぐり描かれた落書きみたいなヘタクソな絵は、


(……人間か?)


爆弾バクダンみたいなナイスバディのとにかくまつ毛の長い女が、冗談みたいな格好をした黒髪の王子と並んでいる。


〈べる〉


〈よういちさま〉


絵からチラリと目を上げると、描き手はおれの顔を覗き込み、いい感想を期待していた。



「……描きたいことは伝わってくる。ちょっとえんぴつ取ってきな」



かるく手直しをして返すと、ベルは感激したようだった。


「うれしいですわ! うれしいですわ! 一生いっしょーの宝物にしますわ!」



……正直、わるい気はしなかった。



「羊一さま。ベルは、もっと大人になって、『おぷしょんぱーつ』をたくさん買って、この絵のようになりますわ!」


「おい、それ、だれのカネで買うんだよ?」


「もちろん、羊一さまですわ!」


「……わりぃがそんな甲斐性はねぇな」


「ありますわ! いつかきっと……」



おれの両手をはっしと取って、ベルはキラキラした目で言った。



「羊一さまは、いつかきっと……有名な方になりますわ! ベルは信じていますもの……」



(……やれやれ、調子のいいこった)



だがその真摯しんしなけなげさは、

腐ってしまったおれの心にちいさな波紋を呼び起こした。



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