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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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79/155

5-9


——ほんとうにしたいことがあるのに、どうしてもそれができない時に。


「……ひとの心は痛むんだ。おれだって、ずっとそうさ。『画家になりてぇ』と思ってずっと、未だにくすぶり続けてるんだ」


自分でも、気づかぬうちに。

本心が口を突いていた。


(絵が描きたい。絵が描きたい。そして、みんなに認められたい……)


涙のしずくがこぼれると、

もはや言葉は止まらなかった。



「わかってる。簡単なんだ。ただ『生きてく』ってだけならな、別にこだわりなんてなくても、どうにかこうにかやってける。だけど、それじゃあ結局ダメで、ただの『趣味』でも満足しない」



——ほんとうの夢が叶うまで、ひとはずーっと悩み続ける。



「飛鳥だって、同じだよ。正義のために戦いたくて、おまえの心はくすぶっている。つらいんだ、おまえは今。それってすごく、人間らしい……」



「シープマン……」


飛鳥は言葉を詰まらせて、瞳をきらりと光らせた。


「『無力』とは、つらいものだな……」


「だれだって、そうなんだ。みんなそうして生きているんだ……」



心の底から欲しいのに、

どうしても手に入らないものや、

うまくいかないことが多くて、


ブチ破れないカベに囲まれ、

それでも毎日歯をくいしばり、

黙って隠して生きている。


その意味で言えばこの場所は。


この薄暗い資料室は、まさに飛鳥の牢獄だった。



おれは、帰ることにした。


で、帰り際、飛鳥に言った。



「飛鳥、ぜってーあきらめんなよ。おれだって、あきらねぇ……」



「ありがとう、シープマン。またいつか……ペアを組もう。そして平和が戻って来たら……」



キミの描いた『絵』を見せてくれ……。




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