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飛鳥は机に資料を広げ、中から写真を取り出した。
保管用のフォトフィルム。
そこに映った5歳くらいの少女の顔にはどことなく、見覚えのある雰囲気があった。
「彼女の名前は『和泉飛鳥』。10年前、ある怪人の起こした事件に家族とともに巻き込まれ……両親を残し他界している」
「……その子が『おまえ』だってのか?」
飛鳥は資料の背表紙を、おれに見えるように立ててみせた。
そこに書かれていた文字は、
〈被験体2050号〉
「死んだ少女の両親は、警視省の人間だった。彼らは娘の遺体を焼かず、実験用のサンプルとして、『とある計画』に提供した」
——サイボーグ・ポリス計画。
すべての記憶と引き換えに、
「死なない身体」を手に入れて。
和泉飛鳥は生まれ変わった。
「だから、わたしは『マークII』。生まれながらに『2代目』なんだ……」
飛鳥の話を聞きながら、資料をパラパラめくってみると。
少女飛鳥の5年しかない人生がそこに綴られていた。
〈生まれた日〉
〈歩いた日〉
〈乳歯がしっかり生えそろった日〉
すべてが私的な家族写真で、ページをめくると少しずつ、赤ん坊は歳をとっていった。
ピクニック先で花を見つけて、両手に抱えて喜ぶ少女。
自宅の庭の簡易プールできゃっきゃと遊んでいる少女。
笑顔、泣き顔、おどけた顔や、
怒った顔や静かな寝顔……。
——飛鳥、飛鳥、みんな飛鳥。
わが子の百万通りの顔を、ひとつも逃さず残そうとする、撮影者たちの姿はそこにはまったく映り込んでいなかった。
けれど、カメラのファインダー越し。
幼いわが子の成長と、幸せを祈る親の気持ちは、苦しいほどに滲み出ていた……。




