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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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77/155

5-7


飛鳥アスカは机に資料を広げ、中から写真を取り出した。


保管用のフォトフィルム。

そこに映った5歳くらいの少女の顔にはどことなく、見覚えのある雰囲気があった。


「彼女の名前は『和泉飛鳥イズミアスカ』。10年前、ある怪人ミュータントの起こした事件に家族とともに巻き込まれ……両親を残し他界している」


「……その子が『おまえ』だってのか?」


飛鳥は資料の背表紙を、おれに見えるように立ててみせた。


そこに書かれていた文字は、


〈被験体2050号〉



「死んだ少女の両親は、警視省の人間だった。彼らは娘の遺体を焼かず、実験用のサンプルとして、『とある計画』に提供した」



——サイボーグ・ポリス計画プロジェクト



すべての記憶と引き換えに、

「死なない身体カラダ」を手に入れて。


和泉飛鳥は生まれ変わった。



「だから、わたしは『マークII』。生まれながらに『2代目』なんだ……」



飛鳥の話を聞きながら、資料をパラパラめくってみると。


少女飛鳥の5年しかない人生がそこにつづられていた。


〈生まれた日〉


〈歩いた日〉


〈乳歯がしっかり生えそろった日〉


すべてが私的な家族写真で、ページをめくると少しずつ、赤ん坊は歳をとっていった。



ピクニック先で花を見つけて、両手に抱えて喜ぶ少女。


自宅の庭の簡易プールできゃっきゃと遊んでいる少女。


笑顔、泣き顔、おどけた顔や、

怒った顔や静かな寝顔……。



——飛鳥、飛鳥、みんな飛鳥。


わが子の百万通りの顔を、ひとつも逃さず残そうとする、撮影者たちの姿はそこにはまったく映り込んでいなかった。



けれど、カメラのファインダー越し。


幼いわが子の成長と、幸せを祈る親の気持ちは、苦しいほどに滲み出ていた……。




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