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ペアの解消を告げられた後、
おれは一度だけ飛鳥と会った。
警視省の本部に行くのはいつもながらに気が引けたけど、あいつのためならやむを得ない。
(だいたいおれは『お役所』みたいな『大人の施設』がかなりニガテだ……)
飛鳥のことは充から、ほんの少しだけ聞かされていた。
どうやら部署の異動があって、「刑事課から外れた」とのことで。
近頃は「文書保管室」とやらで事務の仕事をしているらしい。
おキレ—な新庁舎に比べて、西別館の古カビ臭さは空気が澱んでいるようだった。
壁紙の日に焼けた内廊下をどんどん奥まで進んでいくと、薄暗い明かりの点いた部屋に、それらしい表札があった。
室内には、職員がひとり。
動きにくそうな事務服を着た、ロングヘアーで眼鏡の女。
そいつが顔を上げるまで、ほんとにだれだか気づかなかった。
「やあ、シープマン。ひさしぶりだな……」
ハキのない、静かな声で。
しばらくぶりに会った飛鳥は、別人のように大人しかった。
(……いや、もしかするとこの性格が、本来の『素』なのかもしれないが)
「おいおい、なんだよ、『イメチェン』か?」
おどけたおれのジョークに対し、
「……地味だろう?」
と笑いかけ、目を伏す飛鳥の表情からは、深い気落ちが見てとれた。
トレードマークのポニーテールをやめてしまったからじゃなく。
なにか大事な「飛鳥らしさ」がすっかり欠けているようで……。
おれはやるせない気持ちになった。
(喜ぶだろう)と思って買った、
「お菓子の詰め合わせパック」なんて、ほんとに持ってこなきゃよかった。




