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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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75/155

5-5



ペアの解消を告げられた後、

おれは一度だけ飛鳥アスカと会った。


警視省の本部に行くのはいつもながらに気が引けたけど、あいつのためならやむを得ない。

(だいたいおれは『お役所』みたいな『大人オトナの施設』がかなりニガテだ……)



飛鳥のことはミツルから、ほんの少しだけ聞かされていた。


どうやら部署の異動があって、「刑事課から外れた」とのことで。

近頃は「文書保管室」とやらで事務の仕事をしているらしい。



おキレ—な新庁舎に比べて、西別館の古カビ臭さは空気が澱んでいるようだった。

壁紙の日に焼けた内廊下をどんどん奥まで進んでいくと、薄暗い明かりの点いた部屋に、それらしい表札があった。



室内には、職員がひとり。

動きにくそうな事務服を着た、ロングヘアーで眼鏡メガネの女。


そいつが顔を上げるまで、ほんとにだれだか気づかなかった。



「やあ、シープマン。ひさしぶりだな……」


ハキのない、静かな声で。

しばらくぶりに会った飛鳥は、別人のように大人しかった。


(……いや、もしかするとこの性格が、本来の『素』なのかもしれないが)



「おいおい、なんだよ、『イメチェン』か?」


おどけたおれのジョークに対し、


「……地味だろう?」


と笑いかけ、目を伏す飛鳥の表情からは、深い気落ちが見てとれた。



トレードマークのポニーテールをやめてしまったからじゃなく。


なにか大事な「飛鳥らしさ」がすっかり欠けているようで……。



おれはやるせない気持ちになった。



(喜ぶだろう)と思って買った、

「お菓子の詰め合わせパック」なんて、ほんとに持ってこなきゃよかった。




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