5-3
大八木充と奈良部羊一。
物心ついた時からずっと、ふたりは幼なじみだった。
「若死病」という呪いのせいで、すべての子どもがたった10年で大人にならなきゃならない世界。
瞬くように過ぎてしまった、少年時代の記憶の中で。
おれたちは無二の親友だった。
当時の充の印象は、今よりもっと線が細かった。
体つきだってひょろひょろで、泣き虫のくせに負けず嫌いで、そのくせ正義感だけは強く、いつもケンカで負かされていた。
今でこそ偉い警視になって、年がら年中、眉間に深ーい「皺」ばかり刻み込んではいるが、
おれに言わせりゃ「根っこ」の部分は、たぶん変わってないと思う。
(ひと前でわざと他人行儀に振る舞うとことかずっといっしょだ)
……充のことは、だれよりわかる。
おれたちは、ずっといっしょに。
兄弟のように大人になった。
ふたりで同じ学校に通い、
ふたりで同じやつを好きになり、
なにをするにもふたりいっしょで、要は互いに依存していたし、この窮屈な社会に対し、ひどく苛立ちを感じていた。
あの頃、おれと充はともに、秘密の「夢」を持っていた。
子どもっぽくて純粋で、胸の奥があったかくなる夢。
だけど社会や学校は、ことあるごとにおれたちに向けて容赦ない冷や水をぶっかけた。
(ひとは理想じゃいきていけない)
(だれかの役に立たなきゃいけない)
黙ってそれを理解することが、
大人になるっていうことだから。
教師たちはおれたちの背中に、膨大な量の宿題を乗せ、上からぎゅうぎゅう押し付けてきた。




